UNRWA職員のイスラエル攻撃関与で複数国が資金拠出を一時停止

(イスラエル、パレスチナ、米国、ドイツ、英国、オーストラリア、イタリア、カナダ、フィンランド、オランダ、スイス、日本、世界)

テルアビブ発

2024年01月29日

国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の職員が2023年10月7日のハマスによるイスラエルへの攻撃(2023年10月10日記事参照)に関与したとの疑惑について、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は1月28日に声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

グテーレス事務総長は「関与が指摘された12人のうち、9人が直ちに特定され、フィリップ・ラザリーニUNRWA事務局長によって解雇された。1人は死亡が確認され、他の2人の身元は現在調査している」と説明し、「テロ行為に関与した国連職員は、刑事訴追を含め、責任を問われる」と述べた。

UNRWA外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、今回の疑惑を受けて、1月27日時点で9カ国がUNRWAへの資金拠出を一時的に停止することを決定したとしている。各種報道などによると、米国、ドイツ、英国、オーストラリア、イタリア、カナダ、フィンランド、オランダ、スイスが拠出の一時停止を明らかにしている。

また、日本の外務省は1月28日に報道官談話を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、「わが国は、昨年10月7日のイスラエルへのテロ攻撃にUNRWA職員が関与したとの疑惑について、極めて憂慮している」と述べ、「UNRWA側において本件に関する調査が行われ、対応策が検討される当面の間、UNRWAへの追加的な資金拠出を一時停止せざるを得ないとの判断に至った」とした。

UNRWAPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、2022年の拠出予算総額は約10億5,500万ドルで、そのうち米国が約3億4,400万ドルで全体の32.6%を占め、ドイツ(19.2%)、EU(10.8%)、スウェーデン(5.8%)、ノルウェー(3.2%)、日本(2.9%)、フランス(2.7%)、サウジアラビア(2.6%)と続いている。

グテーレス事務総長は「ガザの200万人の市民は、日々の生存のためにUNRWAからの重要な援助に依存しているが、UNRWAの現在の資金では、2月の支援のために必要な全ての要件を満たすことはできない」と述べ、「拠出を停止している各国政府に対し、少なくともUNRWAの活動の継続を保証するよう強く訴える」とした。

イスラエルとハマスの衝突の詳細についてはジェトロの特集を参照。

(中溝丘)

(イスラエル、パレスチナ、米国、ドイツ、英国、オーストラリア、イタリア、カナダ、フィンランド、オランダ、スイス、日本、世界)

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