新型コロナ感染再拡大も、警戒レベル引き上げは否定、シンガポール保健相

(シンガポール)

シンガポール発

2023年12月18日

シンガポールの12月13日付の英字紙「ストレーツ・タイムズ」によると、オン・イエクン保健相は同日、新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)の感染が急拡大していることについて、感染警戒レベル(DORSCON)を現行の一番下のレベルの「グリーン」から引き上げる可能性を否定した。オン保健相は、今回の感染再拡大を同国は「乗り越えることが可能」との考えを示した。

同国は2023年2月13日から、DORSCONをグリーンへと引き下げるとともに、ほぼ全ての感染予防措置を撤廃し、新型コロナはエンデミックへと移行していた(2023年2月15日記事参照)。その後、11月の後半にかけて新型コロナの感染が急拡大し、11月26日~12月2日の週の感染者が合計3万2,035人と、2023年では最高となった。しかし、同保健相は、新型コロナ感染による入院者が12月13日時点で560人と、パンデミックのピーク時の1,726人と比べると依然低いと指摘した。また、集中治療室(ICU)で治療中の重症患者も10人以下と、医療システムへの影響が依然低いと述べた。

ローレンス・ウォン副首相兼財務相も12月11日、自身のフェイスブックで、政府が部分的ロックダウンである「サーキットブレーカー」に踏み切るとのインターネット上の憶測は、虚偽の情報だと強調した。

新型コロナなどで病床稼働率が上昇、保健省が注意を呼びかけ

同国では新型コロナの感染拡大などを受け、公立病院の病床稼働率が上昇し、一部の病院の病床稼働率が12月4~9日の間で100.0%に達している。保健省は12月8日、病院システムを維持するためにも、重症者か命の危険がない限り、病院の緊急窓口に行かないよう国民に訴えた。また、同省は、60歳以上の高齢者や、免疫機能が衰えている疾患者、介護施設の入居者については、新型コロナのワクチンを接種してから1年を経た場合に追加接種するよう勧告した。また、その他の生後6カ月以上の人や、特に医療従事者や介護・看護を担っている人は、追加接種を受けるべきだとしている。新型コロナのワクチンは、共同検査・ワクチン接種センターと指定された診療所において、無料で接種ができる(注)。

(注)新型コロナのワクチン接種が受けられる場所の情報は政府のワクチン情報サイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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