ジェトロとBOI・EECO、サステナブルセミナー開催、日・タイ企業が炭素削減技術を紹介
(タイ、日本)
バンコク発
2023年12月01日
ジェトロは11月29日、タイ投資委員会(BOI)、東部経済回廊事務局(EECO)とともに、「カーボンニュートラル達成に向けたサステナブルセミナー」を開催した。タイ温室効果ガス管理機構(TGO)、EECO、タイ中央銀行(BOT)が脱炭素化を進める上でカギとなる政策やファイナンスを説明したほか、日本とタイの企業が炭素削減に資するビジネスモデルや事業共創のアイデアを紹介した。石炭火力発電所でのアンモニア混焼で三菱重工、三菱商事、JERAと連携するBLCPパワーや、工場の省エネソリューションを提供するアズビル(タイ)、アルガルバイオ(東京大学発の藻類バイオ技術ベンチャー)、エコミット(循環型経済に取り組む鹿児島発の循環商社)などが登壇した。
ナリット・テートサティーラサックBOI長官は「日本は気候変動対策でリーダーだ」と期待を述べ、「日本のグリーン成長戦略にある14分野は、タイが促進するバイオ・循環型・グリーン(BCG)産業と一致している」とした。タイへの外国直接投資の累積額で、日本は首位となっている。過去10年間でBOIは4,000件以上に上る日本企業の投資を認可し、その総額は約1兆5,000億バーツ(約6兆3,000億円、1バーツ=約4.2円)に上るという。12月15日に日本で開催予定の「日タイ投資フォーラム」では、タイのグリーン経済における日本企業の事業機会を議論したいと述べた。
ナリット長官はBCG経済に取り組む在タイ日系企業を幾つか挙げ、バイオ技術では味の素(微生物細胞の研究開発)、スパイバー(合成タンパク質素材の製造)、協和発酵バイオ(オリゴ糖製造)、セルロシック・バイオマス・テクノロジー〔サトウキビのしぼりかす(バガス)のアップサイクル〕を紹介した。また、多くの日系企業で太陽光発電の活用が進んでいる点にも触れ、2023年7月にアユタヤ県のミネベア社の工場で10メガワット(MW)を超える太陽光発電施設が稼働した例を挙げた。
BOIは電気自動車(EV)産業を推進しており、日系自動車メーカーの内燃機関車(ICE)から新技術に移管する投資を歓迎している。同長官は、バッテリー式EV(BEV)のみならず、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、燃料電池車、水素システムのいずれも投資優遇対象というる点を強調した。
タイ東部3県(チョンブリ県、ラヨン県、チャチュンサオ県)への投資促進を担当するEECOのチュラ・スックマノップ事務局長は、11月30日開幕の国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)を踏まえ、「投資面では気候変動に資する金融環境の整備が必要だ」と述べた。同事務局長は「EECOはグリーン経済に資する技術やイノベーションへの投資を奨励する」とし、クリーンエネルギーやスマートグリッドなどのエネルギー技術、リサイクル技術、炭素クレジット取引、炭素回収・有効利用・貯留(CCUS)などの炭素管理技術を支援するとした。
黒田淳一郎ジェトロ・バンコク事務所長は「日本とタイの企業が新たなビジネスをつかむ機会を作り、日タイやASEANでのカーボンニュートラルに向けた新たなチャレンジ、連携を支援する」と述べた。具体的には、2024年1~2月にビジネスマッチングを実施、同年3月には「サステナブルビジネス集Vol.3」(注)を発行する予定だ。
(注)Vol.2はジェトロのウェブサイトから閲覧できる。
(北見創)
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