サウジアラビア、地域統括会社を対象に新たな税制インセンティブ発表
(サウジアラビア、日本、アラブ首長国連邦、湾岸協力会議(GCC))
リヤド発
2023年12月07日
サウジアラビア投資省は12月5日、財務省と税・関税庁(ZATCA)と連携し、地域統括会社(RHQ)を対象とする新たな税制インセンティブを発表した(サウジ国営通信12月5日)。新たなインセンティブは、多国籍企業が国内にRHQを設立する合理性を高めるため、RHQライセンス(注1)取得法人に30年間の税制優遇措置を適用する。税制優遇措置の対象となる租税はRHQの法人税と同法人の活動に基づく源泉所得税で、当該法人はRHQライセンス取得日から免税措置の対象となる。
RHQライセンスで認められる事業内容は、a.地域戦略立案、b.域内マネジメント、c.支援業務(人事やマーケティングなど)に限られており、商業活動は認められていない(注2)。サウジアラビア政府は、商業活動が認められないRHQが法人税と源泉所得税の免税の恩恵をいかに享受できるかを明らかにしておらず、企業関係者の混乱を招いている。ジェトロと投資省が12月6日に共催したRHQ制度をテーマとしたウェビナーでも、複数の企業から同メリットに関する質問が寄せられた。投資省はこうした論点について承知しており、詳細なガイダンスを近く公表すると回答した。
既に200社以上がRHQライセンス取得
投資省によると、RHQライセンスを取得した企業は既に200社以上の企業に上る。分野別では、ビジネスサービス、ヘルスケア、情報通信技術(ICT)に関係する企業の設立が多い。また、同省はインターナショナルスクールを対象とする専用支援プログラムを通じて、既に7校が開校することも明らかにした。
(注1)サウジアラビアで外国企業がビジネスを行うには、投資省が発行する投資ライセンスを取得することが義務付けられている。外国企業は原則として、同ライセンスが規定する事業活動のみを行う。
(注2)商業活動は別法人、合弁会社、代理店などを通じて行う必要がある。
(秋山士郎)
(サウジアラビア、日本、アラブ首長国連邦、湾岸協力会議(GCC))
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