日ASEAN経済共創フォーラムを開催
(ASEAN、日本、シンガポール、マレーシア、タイ、ベトナム、フィリピン、インドネシア、ブルネイ、カンボジア、ラオス、ミャンマー)
調査部アジア大洋州課
2023年12月27日
経済産業省やジェトロ、日本商工会議所をはじめ、日本とASEANの産業界は12月16日、日ASEAN友好協力50周年の特別首脳会議の関連イベントとして、「日ASEAN経済共創フォーラム」を東京で開催した(注)。日ASEANの「共創」を通じた社会課題の解決やイノベーション創出を促すため、両国・地域の官民の代表者や、若手起業家らによる議論が行われた。
フォーラムの冒頭、岸田文雄首相のビデオメッセージが寄せられ、日ASEANの友好関係の基盤は双方の産業界の「つながり」であり、「新たな50年」のコンセプトは「共創」であることや、これまで培った信頼関係があるからこそ今後の共創が可能になると述べた。
続いて、「日ASEANの次世代間連携によるグローバル課題の解決」「日ASEANの共創促進に向けて」と題するセッションが開催された。これらのセッションでは、日ASEANの若手起業家やビジネス界の代表者らが、イノベーションを創出し、共創を実現するのに必要な取り組みや政府の役割について議論した。具体的には、登壇者らは、人工知能(AI)などのデジタルツールが中小企業やスタートアップでも使える時代となった今、ビジネスでは組織の規模ではなく、スピードやタイミングが重要となどと指摘した。また、日ASEANの社会課題の本質や市場の変化を理解するには、人的交流や相互信頼を基盤とし、現地の文化を尊重する姿勢が重要との説明もあった。イノベーション創出や社会課題の解決にはさまざまな「視点」や「気づき」が必要なため、組織における人材の「多様性」も重要とされた。
セッションでは、日本エネルギー経済研究所(IEEJ)や東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)、ASEANビジネス諮問委員会(ASEAN-BAC)の代表らがアジアゼロエミッション共同体(AZEC)を通じたアジアのエネルギー移行について議論した。多様性やイノベーション、基準などのフレームワーク策定が議論のキーワードとなった。気候や自然環境、エネルギー構造が欧州と異なるアジアでは、現地の実情に合ったエネルギー移行プランを策定し、水素や二酸化炭素(CO2)の回収・有効利用・貯留(CCUS)などの技術開発も必要とされた。さらに、エネルギー移行に必要な資金調達や投資促進のため、効果的なカーボンプライシング制度を策定する必要性も指摘された。そのため、関連技術や制度、基準についても、アジアの実情にそった議論が必要で、AZECはこうしたサブリージョナルな解決策を議論するプラットフォームになり得るとされた。
フォーラムのクロージングセッションでは、フィリピンのアルフレド・パスクアル貿易産業相、ラオスのマライトーン・コンマシット商工業相、日本の齋藤健経済産業相が登壇し、官民を含めた日ASEANの共創への期待を述べた。
(注)同フォーラムのプログラムや登壇者についての情報は、日ASEAN経済産業協力委員会(AMEICC)事務局のウェブサイトで確認可能。
(田口裕介)
(ASEAN、日本、シンガポール、マレーシア、タイ、ベトナム、フィリピン、インドネシア、ブルネイ、カンボジア、ラオス、ミャンマー)
ビジネス短信 6f0ee3a87332cde4