「ウェブサミット2023」にジェトロがジャパンパビリオン設置、スタートアップ14社参加
(ポルトガル、日本)
パリ発
2023年12月04日
世界最大級のテックカンファレンスの1つの「ウェブサミット2023」が11月13~16日、ポルトガル・リスボンで開催された。153カ国から7万236人が参加、うち投資家は52カ国から906人だった。また、参加したスタートアップは93カ国の2,608社に上り、過去最高を更新した。
ウェブサミット創設者で前最高経営責任者(CEO)のパディ・コスグレイブ氏は、イスラエル・パレスチナ情勢に関するソーシャルメディアでの発言を発端に、米国などの大手企業数社が不参加を表明する事態となったことを受け、会期直前にCEOを辞任した。新CEOには、元ウィキメディア財団CEOのキャサリン・マー氏が就任。開会式では、破壊的イノベーターの必要性を述べ、彼らが挑戦し議論する場を創出するウェブサミットの開催意義を再確認した。
今回のウェブサミットには、ヘルステックやSaaS(サービスとしてのソフトウエア)、サステナビリティー、クリーンテック、人工知能(AI)、機械学習(マシンラーニング)などさまざまな分野のスタートアップが出展。ウェブサミット誘致を追い風に、エコシステムが近年急成長しているポルトガルは「スタートアップ・ポルトガル」などの支援機関などが数十社とともに大規模なパビリオンを構え、存在感を示した。
会期中は連日200を超える多種多様なイベントが開催された。一番の目玉となる「PITCH」では、全2,608社から厳選された105社がピッチを披露し、ブラジル発リーガルソフトウエアを提供するInspira(インスピラ)が優勝した。
ジェトロは、東京都主催のX-HUB TOKYO事業の一環として、ジャパンパビリオンを設置。都内に拠点を持つスタートアップ14社が参加した。会期前の数カ月間、欧州エコシステムに関するウェビナーや個別メンタリングを通じたピッチコーチング、現地での面談アレンジサポートなどを実施した。
会期中はジャパンパビリオン出展企業もピッチイベントに多数登壇した。パイナップルなどの植物性廃棄物を原料とする皮革を開発・販売するピールラボは、ポルトガルのベンチャーキャピタルのデルタベンチャーズ主催のピッチコンテストに出場した。事前審査で選考されたスタートアップ12社が参加した同イベントで、食品廃棄物の有効活用、動物虐待や地球温暖化の防止などの面で、社会・経済に与えるプラスのインパクトや、製品の幅広い用途などが高く評価され、グランプリを獲得した。
ほかにも、イベント主催者が事前に選考したスタートアップ5社が現地の機関投資家を前にピッチを行う「エクスペリエンス」に、法務業務の効率化を図るソフトウエアを提供するブーストドラフトが登壇した。また、自転車店の管理プラットフォームを提供するメックリンクス、エンドツーエンドの自動化AIソリューションプラットフォームを提供するギガロジ、ピールラボの3社は、ウェブサミットに参加した全スタートアップから選考された400社強が登壇できる「スタートアップショーケース」に選出され、ピッチを披露した。
ジャパンパビリオン出展企業からは、「欧州のみならず、世界各国の投資家や大企業から協業・連携に向けた前向きな反応があった。会期後もフォローアップしたい」「想定とは別の領域での活用可能性についてフィードバックがあり、今後の開発のヒントになった」などの声が上がった。
ジェトロは11月14日にサイドイベント「JAPAN Night」を駐ポルトガル日本大使公邸で開催。ジャパンパビリオン出展企業や海外エコシステムプレーヤーなど総勢120人超が参加し、ネットワーキングを行った。
次回のウェブサミット(リスボン)は2024年11月11~14日を予定している。
(加藤優花、小野恵美)
(ポルトガル、日本)
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