ブリンケン米国務長官が中東を再歴訪、ネタニヤフ首相は「戦闘の一時停止」を拒否

米国のアントニー・ブリンケン国務長官は11月3日からイスラエル、ヨルダン、イラクを訪問し、各国の首脳や外相らとイスラエルとハマスの衝突について協議した。

ブリンケン長官は11月3日、イスラエルのテルアビブでアイザック・ヘルツォーク大統領と会談した。米国務省のマシュー・ミラー報道官によると、ブリンケン長官は、国際人道法に則したイスラエルの自衛権に対する米国の支持をあらためて表明するとともに、両者は人質の解放、米国市民および外国人のガザ地区からの安全な退避の促進、パレスチナの民間人に配給するためにガザに入る人道支援のペースと量の増強、紛争の拡大を防ぐための継続的な取り組みについて話し合ったとしている。

ブリンケン長官はその後、ベンヤミン・ネタニヤフ首相と非公式会談を行った。ブリンケン長官の記者会見によると、両者は戦闘の一時停止や、民間人の安全確保の方法などについて議論し、現実的な解決策について話し合いを続けることで合意したと述べた。ネタニヤフ首相は声明を発表し、米国政府や米国民のイスラエル支援に感謝の意を表明した一方で、人質となっているイスラエル人の解放を伴わない戦闘の一時停止を拒否するとともに、イスラエルはガザへの燃料の流入を認めず、ガザへの資金移送にも反対しているとした。

ブリンケン長官は11月4日には、ヨルダンの首都アンマンでレバノンのナジーブ・ミーカーティ暫定首相、カタールのムハンマド・ビン・アブドルラフマン・アール・サーニ首相兼外相、フィリップ・ラザリーニ国連パレスチナ難民救済事業機関（UNRWA）事務局長、ヨルダンのアブドゥッラー2世国王と個別に会談するとともに、カタール、ヨルダン、エジプト、サウジアラビア、アラブ首長国連邦（UAE）の外相やパレスチナ解放機構（PLO）の事務総長らと会合を行った。会合後の記者会見で、ブリンケン長官は「（戦闘の）一時停止は民間人を保護し、援助（物資）を受け入れ、外国人を退避させ、かつイスラエルがハマス打倒という目的を達成するための重要なメカニズムになり得ると信じている」と述べた。一方、エジプトのサーメハ・シュクリー外相は「前提条件なしで、ガザでの即時かつ集中的な停戦と、イスラエルが国際法と戦争法に違反する行為をやめることを求める」と述べた。

ブリンケン長官は11月5日に、パレスチナ自治区のヨルダン川西岸地区を電撃訪問し、パレスチナ自治政府（PA）のマフムード・アッバース議長と会談した。米国務省のミラー報道官によると、ブリンケン長官はガザにおける救命人道支援と必要不可欠なサービスの再開に対する米国のコミットメントをあらためて表明し、パレスチナ人が強制的に避難させられてはならないことを明らかにしたという。一方、アッバース議長は、11月5日付パレスチナ通信社「WAFA」によると、イスラエルによるガザ攻撃の即時停止を求め、戦争で荒廃したガザへの医薬品、食料、水、電力、燃料などの人道的援助の迅速な提供を要請した。

ブリンケン長官はその後、イラクのバグダッドを電撃訪問し、ムハンマド​​・スーダーニー首相と会談した。ミラー報道官によると、両氏はイスラエルとハマスの対立と、イラクを含む紛争拡大を防ぐ必要性について議論したとしている。

イスラエルとハマスの衝突の詳細については特集を参照。

（中溝丘、アリサ・ノスキン）