政府調達の電子化進む、8カ月弱で前年度通年に並ぶ
(インド)
ニューデリー発
2023年11月24日
インド商工省は11月13日、国内の公共調達用オンラインプラットフォーム「GeM(Government e-Marketplace)」を通じた2023年度(2023年4月1日~2024年3月31日)の物品・サービスの調達総額が年度初めから8カ月弱で2兆ルピー(約3兆6,000億円、1ルピー=約1.8円)を上回ったと発表した。GeMを通じた2023年度の年間公共調達の総額は、前年度の2兆111億ルピーを大きく上回る見通しだ。
GeMは、国内各省庁や政府機関の公共調達の電子化を図るため、商工省が2016年8月に立ち上げたオンラインプラットフォームだ。従来、国内の公共調達は各省庁や政府機関がそれぞれ独自の方法で行っており、手続きの非効率性や不透明さが指摘されてきたが、GeMはこれらの課題を解決する手段として導入された。公共調達への参加を希望する国内企業(注)はまずGeMに登録し、物品で1万1,800種類以上、サービスで300種類以上の各カテゴリー欄に自社が提供する物品・サービスを掲載できる。各省庁や政府機関は原則として次のとおり公共調達を行う。
- 2万5,000ルピー以下の調達:直接発注(他社との比較は不要)。
- 2万5,000ルピー超~50万ルピー以下の調達:登録情報を基に3社以上の金額を比較して最も安価な企業に直接発注。
- 50万ルピー超の調達:GeM登録企業を対象とした入札を実施し、最低金額を提示した企業に発注。
現在、全調達額の83%は中央政府(省庁・機関)によるもので占められ、州政府(省庁・機関)による調達は全体の17%にとどまっている。商工省のGeM担当者によると(ヒアリング日:11月7日)、ウッタル・プラデシュ州、グジャラート州、マハーラーシュトラ州をはじめとして、積極的にGeMを利用する州も出てきており、商工省としては、今後も各州政府にGeM利用促進を働きかけていく考えだ。また、対象製品・サービスのさらなる充実や、調達方法の多様化といったニーズにも今後応えていきたい方針だ。
(注)GeMの利用者登録には、インド国内居住者にのみ付与される国民ID(アダール)番号が必要。
(サンディープ・シン、広木拓)
(インド)
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