10月の消費者物価上昇率は3カ月ぶりに前月比1桁台に

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2023年11月27日

アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)は11月13日、10月の消費者物価指数(CPI)上昇率が全国平均値で前月比8.3%増だったと発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。前年同月比(年率)では142.7%増と9カ月連続で100%を超えた(添付資料図参照)。年初からの累計の物価上昇率は120.0%に達した。

前月比の伸び率を10月単月でみると、季節によって価格が変動する生鮮食品や観光サービスなどの財・サービスは7.6%増、エネルギーや公共サービスなど価格統制された財・サービスは6.6%増、季節要因と価格統制要因を除いたコアインフレ率は前月比8.8%増と、いずれも前月に比べて伸びが大きく鈍化した。

前月比の伸び率を費目別にみると、上昇率が高かったのは通信の12.6%増、衣類・靴類の11.0%増、家財道具・住宅管理の10.7%増、一方、上昇率が低かったのは食品・飲料(酒類を除く)の7.7%増などで、平均値を大きく下回った。10月単月の物価の伸びが前月に比べて鈍化したのは、CPIに占める比重が大きい食品・飲料(酒類を除く)の伸びが鈍化したことよるとみられる。11月13日付の現地紙「エル・クロニスタ」(電子版)が伝えたエコノミストらの見方によると、単月の物価の伸びが鈍化した要因として、公共料金の凍結、公式為替レートの固定が続いたこと、政府による消費財の価格統制を挙げられている。

しかし、11月は再び物価が上昇に転じるかもしれない、と同エコノミストらは見ている。11月15日に8月中旬以降続いた公式為替レートの固定が解除され、再び切り下がり始めたからだ。ブルーレートと呼ばれる非公式の実勢為替レートも下落している。ジェトロが11月23日にブエノスアイレス市内で行った価格調査(添付資料表2参照)でも、物価上昇の鈍化は見て取れない。中央銀行がエコノミストらを対象に実施するマクロ経済指標の見通しに関するアンケート調査(REM)の最新の調査結果によると、11月のCPI上昇率は前月比11.5%と再び2桁台の予測となっている。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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