S&Pによる長期国債格付け引き下げに政府が反論

(ボリビア)

リマ発

2023年11月28日

格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ・グローバル(S&P)は11月22日、ボリビアの長期国債信用格付けを「B-」(債務履行能力あり)から「CCC+」(不履行の可能性が高い)に引き下げると同社ホームページで発表した。S&Pは理由として、ボリビアの輸出減少、制限された外貨準備高の流動性、多額の財政赤字、中央銀行資産の不透明性などが債務不履行リスクを高めているとしている。また、与党内や議会での亀裂など政治的な行き詰まり感も、同国によるタイムリーな外部資金調達能力に疑問を呈する要因となったとしている。

これに対して、同国の経済公共財政省(MEFP)のマルセロ・モンテネグロ大臣は翌23日、同省ホームページを通じて反論した。モンテネグロ大臣によると、ボリビアでは継続的な経済成長のほか、比較的安定したインフレ率の維持や、雇用市場の活性化に伴う失業率の低下が見られている。さらに、周辺国のチリやペルーの景気後退、コロンビアの2桁インフレ、アルゼンチンの経済危機などを引き合いに出した上で、S&Pが適正な評価をしていないと非難した。

また、同大臣は、S&Pによる固定為替相場制、燃料補助金、数々の社会給付金(Bonos Sociales)の廃止提言についても触れ、「政府は決して大衆の経済を脅かすようなことはしない」として、これらを断固拒否した。政治面でのリスクについても「ほんの一部の議員によるルイス・アルセ政権への妨害行為だ」として一蹴した。

(設楽隆裕)

(ボリビア)

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