インドのイプシロン、6億ドル以上投資し米ノースカロライナ州に合成黒鉛の製造施設建設へ
(米国、インド)
アトランタ発
2023年11月01日
米国ノースカロライナ州のロイ・クーパー知事(民主党)は10月26日、電気自動車(EV)用リチウムイオンバッテリー(LiB)に使用される合成黒鉛の世界的プロバイダー、インドのイプシロン・アドバンスト・マテリアルズ(EAM)が同州ウィルミントン郊外のミッド・アトランティック・インダストリアル・レール・パークで、LiBの負極部品用合成黒鉛の製造施設を建設すると発表した。6億4,990万ドルを投資し、500人の雇用を創出する。同社にとって、米国内で初めての製造施設となる。
ノースカロライナ州経済開発機構によると、この製造施設は同州南東部で過去10年間に発表された経済開発の中でも最大規模のもので、インド企業による同州への投資としては過去最大だ。同社のプレスリリースによると、インド企業による米国のEV市場への最大かつ初めての投資となる。2024年に起工、2026年に操業開始を予定し、2031年までに最大製造能力到達を計画している。完全に稼働すると、年間5万トンの合成黒鉛負極材料が生産される。
EAMの創業者でマネジングディレクターのビクラム・ハンダ氏は「この施設は、米国のEVバッテリー業界でインド最大の投資で、ノースカロライナ州を当社の米国製造戦略の中心に据えることを誇りに思う」と述べた。また、同社のスニト・カプール最高経営責任者(CEO)は「ノースカロライナ州に世界クラスの施設を持つことで、自動車業界が近年経験してきたサプライチェーン上の懸念が解消される。天然黒鉛と合成黒鉛の両方を製造できる当社の技術力により、輸入の課題に悩まされることなく、成長を続けるEVバッテリー業界に黒鉛負極をより早く、より確実に、そして競争力のあるコストで提供できることを喜ばしく思う」と述べた。
EAMのこのプロジェクトは、同州の雇用開発投資助成金(JDIG)の対象となることが承認された。JDIGの対象期間の12年間で、プロジェクトは州の経済を13億ドル成長させると見積もられており、12年間で最大344万3,250ドルの助成金が同社に支払われる見込みだ。
(吉田祥子)
(米国、インド)
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