中国進出の韓国企業、3割が現地需要の不振を経営上の問題点と回答

(中国、韓国)

北京発

2023年10月04日

韓国産業研究院(KIET)は中国韓国商会、大韓商工会議所とともに四半期ごとに、中国進出の韓国企業にアンケート調査を実施している。調査項目は景況感、営業実績、経営上の問題点などで構成し、BSI(Business Survey Index、注1)を用いている。

2023年第2四半期(4~6月)レポート(注2)では、景況感BSIの全業種平均が76で、第1四半期(1~3月)の75から小幅に上昇した(添付資料図1参照)。他方で、売上高BSIの全業種平均は第2四半期が76で、第1四半期の77から小幅に減少した。業種別にみると、電気電子の売上高BSIは前期比14ポイント減の91と、基準値の100を下回っており、「悪い」と回答した企業の方が多くなった。企業規模別では、大企業の売上高BSIが104となり、2022年第2四半期から4四半期ぶりに100を上回ったが、中小企業は72と依然として100を下回る結果だった(添付資料図2参照)。

同レポートでは経営上の問題点についての調査も行っており、「現地需要の不振」と回答した企業の割合が30.7%となった。そのほかに「競争の激化」が17.8%、「輸出の不振」が14.7%と続いている(添付資料表参照)。

中国進出の韓国企業の課題に関しては、中国韓国商会、大韓商工会議所、在中韓国大使館が2022年12月に発表した「2021~2022在華韓国企業白書」でも示されている。共通課題(建議事項)として、60歳以上の外国人工作許可制度の緩和、企業清算手続き専用窓口の設置、独占禁止法の改革、法律や政策の制定・改正時の意見募集期間の長期化、一部輸入商品の技術制限措置の撤廃、意匠権保護期間の長期化など多方面にわたって挙げられている。業種別では、自動車製造業の工場移転の補助金政策の明確化、その手続きの簡素化、電子製造業で政府補助金の支給対象について内外無差別の要求が挙げられている。

(注1)BSIは景況判断指数。当該アンケート調査は「良い/増加」「普通/不変」「悪い/減少」の3つの回答で構成しており、「良い/増加」から「悪い/減少」の回答企業数を引いた数を回答企業数で割り、それに100を掛けてから100を足した数でBSIを算出している。指数が100を超えた場合、「良い/増加」の回答が多いこと、100未満ならばその反対を意味している。

(注2)調査期間は6月5~28日、回答企業数は225社。回答企業の業種別割合は、電気・電子15.6%、自動車14.7%、金属・機械13.3%、化学13.3%、繊維・衣類14.2%、その他製造業14.7%、流通業14.2%。企業規模別割合は大企業12.4%、中小企業87.6%。

(亀山達也)

(中国、韓国)

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