IMF融資、初回レビュー完了に向けた方針を事務レベルで合意

(バングラデシュ)

ダッカ発

2023年10月23日

IMFは10月19日、総額45億ドルに及ぶバングラデシュ政府への融資に係る第1回公式レビューの完了に向けた方針について、事務(スタッフ)レベルによるバングラデシュ政府と合意したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。IMFの特別チームは、公式レビューに向けた2023年4~5月の訪問(2023年5月18日記事参照)に続き、10月4日から19日までダッカを訪問し、ムスタファ・カマル財務相やバングラデシュ中央銀行総裁らと面談を行っていた。同レビューは、今後数週間以内にIMF内部の承認プロセスを経て完了する予定(注)で、これにより同融資の2回目の払い込み(計6億8,100万ドル)が可能となる。

IMFは同発表において、バングラデシュ政府は同融資のプログラムを通じ、必要な構造改革を大幅に進めたことを評価しつつ、現地通貨タカおよび外貨準備高に対して圧力がかかっており、中立的な財政政策によるさらなる金融引き締めと柔軟な為替レートの実現が、短期的なマクロ経済の安定のために必要と指摘。同融資のプログラムを通じて経済安定や、必要な規制改革の加速化に取り組むバングラデシュ政府を引き続き支援すると表明した。

具体的には、短期的な政策の方向性としてインフレ抑制を優先し、国内経済への影響を抑えて情勢変化に対するレジリエンス(回復力)を築くことが重要で、この観点から10月4日に実施された政策金利の7.25%への引き上げ(2023年10月10日記事参照)が評価された。外貨準備高は短期的にはゆるやかに増加し、中期的には想定される輸入額のおよそ4カ月分相当まで回復すると見込む。またIMFは、金利コリドーシステムの導入と為替レートの単一化(2023年8月4日付地域・分析レポート)に向けた政府の取り組みを評価しつつ、為替制度を中心とする金融政策の近代化、ならびに外貨準備の管理の改善が引き続き重要で、依然として不確実性は高いと分析。さらに、政府の歳入引き上げのための税制政策とその実行、国営商業銀行の不良債権の削減、ガバナンスの強化など銀行セクターの脆弱(ぜいじゃく)性への対処も不可欠とされ、政府の関連の政策動向が引き続き注目される。

(注)同発表によると、今回の事務レベル合意は、必ずしもIMF理事会の見解を代表するものではなく、今後レポートとして情報がさらに整理され、IMF理事会で議論・意思決定される。

(山田和則)

(バングラデシュ)

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