1~9月の港湾貨物取扱量は9.0%増、政府はアルハンゲリスクの物流拠点開発を指示

(ロシア)

調査部欧州課

2023年10月19日

ロシア商業海港協会の発表(10月13日)によると、2023年1~9月のロシア海港での貨物取扱量は前年同期比9.0%増の6億7,530万トンだった(添付資料表参照)。ミハイル・ミシュスチン首相は10月2日、ロシア北西部のアルハンゲリスク州の物流拠点整備に関する連邦政府指示に署名した。

貨物取扱量を品目別で前年同期と比較すると、石炭(7.4%増)、コンテナ貨物(9.3%増)、穀物(約90%増)、鉱物質肥料(約60%増)、原油(6.1%増)が伸びた。一方で、鉄鋼(16.4%減)、鉱石(26.9%減)、石油製品(8.0%減)、液化ガス(4.6%減)が減少した。海港所在海域別ではアゾフ・黒海域が18.7%増、カスピ海域が34.3%増、極東海域が6.9%増だった。

8月単月でみると、ロシア海港の貨物取扱量は前年同月比11.8%増の7,400万トンとなった。海域別でみると、アゾフ・黒海域、極東海域、バルト海域における貨物取扱量はそれぞれ前年同月比で23%、9%、7%の増加だった(「インフラ・ニュース」10月17日)。

ミハイル・ミシュスチン首相は10月2日、2035年までのアルハンゲリスク物流拠点総合開発計画に関する連邦政府指示第2555-r号に署名、同計画を承認した。本計画は、ロシア政府が国家的に重要な主要輸送ルートと位置付ける北極海航路開発の一環だ。この計画の主な活動は、a.アルハンゲリスク港における新しいターミナルの建設、b.アルハンゲリスク港などにおける鉄道と道路のインフラ整備などが挙げられる。

アルハンゲリスク港における新ターミナル建設については、投資家やアルハンゲリスク州政府、連邦海上・河川輸送庁(ロスモルレチフロート)などが参画する予定。2025年から2026年にかけて設計文書が完成、建設が開始され、2040年までに年間2,500万トンの能力を持つ予定だ。

アルハンゲリスク港などにおける鉄道と道路のインフラ整備については、2024年から2027年にかけてのソロンバルカ鉄道駅の近代化と輸送能力の拡張、2026年から2028年にかけてはポブラクルカ川とソロンバルカ川にかかる道路橋の抜本的改修、クズネチハ川にかかる橋の建設が実施される予定。

(後藤大輝)

(ロシア)

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