イスラエルとハマスの衝突に対するイランの反応、ハマス支持の姿勢

(イラン、イスラエル、パレスチナ)

調査部中東アフリカ課

2023年10月16日

イスラエルとパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスの武力衝突が10月7日に発生して以降、イランはハマスを支持する姿勢を示している。

イブラーヒーム・ライーシー大統領は8日の声明で「イスラム諸国の政府は、イスラム共同体とともに、パレスチナ人民の支援に参入しなければならない。敵であるシオニスト(イスラエル)は方程式が変わったことを理解すべきだ」と述べた。また「イランはシオニスト政権に対するパレスチナの正当な防衛を支持する」とした〔10月8日付イスラーム共和国通信(IRNA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます〕。

外務省のナセル・キャンアーニー報道官も9日の記者会見で「抵抗するパレスチナの人々は、75年にわたって権利を侵害してきたシオニスト政権による侵略を排除し、占領を撃退するために、自らの力を行使する権利がある」と述べた(10月9日付IRNA外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

アリー・ハーメネイー最高指導者は10日にイラン国軍の士官学校の卒業式のスピーチで、「シオニスト政権は軍事面でも諜報(ちょうほう)面でも、取り返しのつかない敗北を喫した」と述べた。また「賢く知的な(作戦の)立案者とパレスチナ人の若者の額と腕に口づけする。しかし、最近の大事件が非パレスチナ人の仕業だと言う人たちは誤算だ」と述べて、ハマスを称賛する一方で、ハマスによるイスラエルに対する7日の大規模攻撃へのイランの関与については否定した(10月10日付IRNA外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

ホセイン・アミール・アブドゥラヒヤーン外相は10日、EUのジョセップ・ボレル・フォンテーリャス外務・安全保障政策上級代表(欧州委員会副委員長兼任)と電話会談を行い、「現在行っている抵抗は、ここ数カ月間にネタニヤフ首相とシオニスト政権がパレスチナ人民に対して取った過激で非人道的な措置の一部への対応だ」と強調した(10月10日付IRNA外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

イランはまた、各国の首脳らと電話会談などを積極的に行っている。12日には、ライーシー大統領がサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子兼首相と電話会談を行い、両者はパレスチナに対する戦争犯罪を終わらせる必要性について合意した(10月12日付IRNA外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます2023年10月12日記事参照)。

また、アブドゥラヒヤーン外相は12~15日にイラク、レバノン、カタールを訪問し、各国の首脳と最新の動向について協議した。同外相はレバノン・ベイルートでの記者会見で「シオニスト政権の戦争が止まらないのであれば、いかなる可能性もある」と述べた(10月13日付IRNA外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。同外相はレバノンではハマス幹部らと外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、カタールではハマスのイスマイル・ハニーヤ政治局長とも会談外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

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