EV補助金制度を改正、製造・輸送過程のCO2排出量を適用条件に
(フランス)
パリ発
2023年09月25日
フランス政府は9月20日付官報で、電気自動車(EV)の新車購入に対する環境報奨金(補助金)の新たな適用条件に関するデクレ(政令)を公布した。EVの製造・輸送過程における二酸化炭素(CO2)排出量をベースに算定される「環境スコア」が60ポイントを超えるモデルに補助金の適用を限定する。同スコアの算定方法に係わるアレテ(省令)も同日付の官報で公布され、両法令ともに10月10日に施行される。
「環境スコア」の算定ベースとなるCO2排出量は、EVの製造過程で使用された鋼材、アルミニウム、その他の素材の生産過程、バッテリーの製造過程、中間加工・組み立て、フランスの流通拠点までの輸送過程におけるCO2排出量を加算して算出される。各過程のCO2排出量はアレテの付属書で国・地域ごとに基準値が設定されている(2023年8月4日記事参照)。
EVを製造する自動車メーカーは、環境スコアの算定に必要な情報(組立工場およびバッテリー工場の住所、車両の組み立てやバッテリー生産に使用された鋼材、アルミニウム、その他素材の質量、バッテリーの種類、フランスまでの輸送方法・輸送距離など)をフランス環境エネルギー管理庁(ADEME)に提出する(アレテ第10条)。
ADEMEは書類受理後45日以内に環境スコアの算定結果を政府に報告し、これを受けて政府は12月に補助金の適用対象となるモデルのリストをアレテにより公表する。ただし、12月15日までに発注され、2024年3月15日までに納入されたEVには現行の補助金制度が適用される(デクレ第2条)。政府は同改正により、年間およそ80万トンのCO2排出量を削減できるとしている。
フランスの自動車業界団体PFAは9月19日、今回の改正は「フランスと欧州にとって脱炭素電力という切り札の価値を高め、再工業化のてこ入れにつながる。フランスと欧州における(EV)生産の誘因になる」と歓迎の意を表明した(PFA声明文)。
(山崎あき)
(フランス)
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