2024年は中国経済の低迷で弱い成長を予測、OECD経済見通し

(世界)

調査部国際経済課

2023年09月21日

OECDは9月19日、「世界経済見通し外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。2023年の世界の経済成長率(実質GDP伸び率)を3.0%、2024年を2.7%と予測した(添付資料表参照)。前回(2023年6月)の見通し(2023年6月8日記事参照)と比較すると、2023年は0.3ポイントの上方修正、2024年は0.2ポイントの下方修正となった。OECDは「2023年前半の世界経済は予想以上の回復を示したが、成長見通しは依然として弱い」と表現した。

2023年の上方修正については、エネルギー価格の上昇が2022年にピークを迎え、2023年の上半期はインフレが落ち着いたことを理由に挙げた。2024年の成長予測を下方修正したことについては、各国の金融引き締めの影響や、中国経済の低迷が要因と説明した。

地域別にみると、2023年、2024年ともにユーロ圏や米国、日本など先進国・地域の経済成長の伸びは相対的に低く、世界の成長率についてインドが大きな貢献をしていると説明した。インドとインドネシアはそれぞれ、2023年に6.3%と4.9%、2024年に6.0%と5.2%の成長予測となっている。

世界経済の前向きな傾向として、エネルギー・食糧価格の下落、米国の成長見通しの上方修正などが挙げられる。また、多くの先進国で労働市場は強く、失業率は歴史的低水準にあることが指摘された。一方、製造業に関わる指標は低迷しており、消費者意欲も新型コロナ禍前の水準より低いままとなっている。中国経済は、2023年初めにゼロコロナ政策の終了で回復したものの、弱い成長傾向にある。

今後のリスク要因としては、(1)インフレの長期化、(2)ロシアのウクライナ侵攻の継続によるエネルギー・食糧価格の上昇、(3)不動産市場の低迷による中国経済のさらなる減速、が挙げられた。OECDは政策提言として、制限的な金融政策の継続、将来の支出圧力に耐えうる財政政策の設計、貿易制限措置の緩和を訴えた。

(板谷幸歩)

(世界)

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