米マイクロソフト、中南米初の人工知能ラボをウルグアイに開設
(ウルグアイ、米国)
ブエノスアイレス発
2023年09月21日
米国マイクロソフトは2023年6月21日、ウルグアイに人工知能(AI)コ・イノベーション・ラボ(以下、ラボ)を開設した。米国(レッドモンド)、中国(上海)、ドイツ(ミュンヘン)に次ぐ4番目のラボで、中南米地域での設置は初だ。ジェトロは同社のウルグアイでの取り組みについて、同社ウルグアイ・カントリーマネージャーのアレハンドロ・パソス氏に7月19日、インタビューを行った。
ウルグアイにラボを設置する計画は、ウルグアイ政府が作ったものだ。政府とマイクロソフトは、同社のコンセプトと似ているが、それとは異なる独自の共創施設を設置することで合意した。ラボは、ウルグアイ技術研究所(LATU)の技術パーク内に立地している。技術パークには、インキュベーション施設やイノベーション促進機関、情報通信企業が立地しており、ラボは、LATUが持つ知識経済のエコシステムの一部と位置付けられている。
ラボの目的は、利用者が技術チームを伴ってラボにやってきて、AIの活用についてマイクロソフトと一緒に話し合うミーティングポイントになること、同社のテクノロジーに関する知識でイノベーションを加速させることだ。農業から教育に至るまで、さまざまなバリューチェーンや社会の課題に対する解決策を共創する。利用者は原則として、スタートアップ企業、通信事業者、金融機関、マイクロソフトの技術パートナーで、利用者がアイディアを持ち込み、それに基づき同社はAIを用いた技術的なプロトタイプを作成し、それをできるだけ早く実装できるようにする。利用者が持ち込んだアイディアを、同社のチームが設計し、それを利用者が持ち帰り、一緒に完成させるイメージだ。利用者は知的財産と全ての開発知識を得ることができる。
ラボはマイクロソフトが運営し、現在は同社のエンジニア3人が業務に当たっている。ラボの運営費はウルグアイ政府が負担しており、同社はエンジニアリングの時間を投資している。そのため、ラボは、無料でプロトタイプを作る。誰に優先的にラボを使わせるかなどの戦略を決めるのはウルグアイ政府で、プロモーションは政府とマイクロソフトが一緒に行っている。現在は初期段階にあり、まずインパクトを示す必要があるため、成果を積み上げていくことで、将来的により多くのリソースを投入することになる。なお、政府は、ウルグアイを中南米におけるイノベーションのハブにすることを目指しているため、プロジェクトにはウルグアイとの何らかのつながりがあることが求められる。そうでない場合は、審査が行われる。
ラボでは3年間で300件のプロジェクトを創出する目標があり、開設から4週間25件のプロジェクトに着手しているという。
(山木シルビア、西澤裕介)
(ウルグアイ、米国)
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