政策金利を9.5%に、前回に続き2度目の利下げ
(チリ)
サンティアゴ発
2023年09月07日
チリ中央銀行は9月5日に行われた金融政策決定会合で、政策金利をこれまでの10.25%から75ベーシスポイント(0.75%相当)引き下げ、9.5%とすることを全会一致で決定した(添付資料図参照)。利下げは前回会合に続き2度目で、下げ幅は前回会合に比べて25ベーシスポイント縮小した。政策金利が10.0%を下回ったのは約1年ぶりとなる。
中銀によると、国内のインフレは依然として高いものの、マクロ経済シナリオは予想どおりに進展しており、2024年下半期にはインフレ目標値である3.0%に収束すると予測している。チリ統計局(INE)は、7月の消費者物価上昇率は前月比0.4%、前年同期比6.5%だったと発表した。また、2023年第2四半期の実質GDP成長率は前年同期比マイナス1.1%となり、消費や輸出の落ち込みがマイナス要因となった(2023年8月25日記事参照)。中銀は2023年のGDP成長率について、これまでの予想だったマイナス0.5~0.25%から、マイナス0.5~0.0%に下方修正した。2023年と2024年の世界の経済成長見通しについても依然として弱く、チリ経済が受ける外部からの刺激も限定的なものにとどまるだろうと付け加えた。
現地エコノミストは利下げ継続を予測
中銀は今後の見通しについて、マクロ経済シナリオの展開とインフレの収束を考慮する必要があるとしており、2023年末までに政策金利が7.75~8.0%まで引き下げられると予想している。現地エコノミストらも、2023年10月と12月に実施予定の残り2会合において、中銀が利下げを継続するとの見方が強い。一方で、対ドル現地通貨ペソ安、原油や食料品価格の高騰、公共交通料金の値上げ(2023年8月23日記事参照)など、短期的に見て利下げ継続について何らかの懸念を引き起こす可能性があるとの見方もある(「ラ・テルセラ」紙9月6日)。
(岡戸美澪)
(チリ)
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