英国とアイルランド、再生可能エネルギー分野の協力強化へ覚書締結

(英国、アイルランド)

ロンドン発

2023年09月19日

英国政府とアイルランド政府は9月11日、両国の脱炭素化と再生可能エネルギー分野の協力強化に向け、覚書(MoU)に署名外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

両国間の再生可能エネルギー開発促進や電力相互接続の実現に向け、年2回の会議開催を基本とし、定期的に指定の協力分野に関する追加の情報共有や協議を実施する。また、共同作業グループを編成し、2023年末までの第1回会合開催を通じて協力体制を構築するとしている。

今回のMoUで明示した協力分野は次のとおり。

  • 洋上風力エネルギー
  • 電力の相互接続、特にオフショア・ハイブリッド・アセット(注)の開発
  • 海洋空間計画
  • 風力発電と太陽光発電を含む陸上再生可能エネルギー
  • 陸上送電システムインフラの開発
  • 水素のバリューチェーン全体の開発に関する協力
  • 環境保護
  • 電力部門のネット・ゼロ・エミッション達成

アイルランドの相互接続容量は現在500メガワット(MW)だが、2027年までに3倍以上の1,700MWに達する予定。要因の1つとして、ケルティック国際連系線(Celtic Interconnector)によるアイルランドとEU間の相互接続の再開が挙げられる。同協定により、英国とはケルト海とアイルランド海での洋上風力発電の供給を加速させることが見込まれる。

また、英国とアイルランドは同日、天然ガスの安定供給に向けた協力に関するMoUにも署名外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。天然ガスの供給不足時などでの安定確保や協力体制の構築を目的とし、英国とアイルランド間の協定改正を検討するとしている。

アイルランドは天然ガスの大半を英国から供給しているが、アイルランド国内のコリブガス田からの天然ガス供給が減少することが見込まれており、英国からの供給量は今後さらに増えると予想されている。

(注)多目的連系線とも呼ばれ、洋上風力発電設備と連系線が直接接続する。連系線が洋上風力の送電線の役割を果たし、地上の電力ネットワークへ直接送電が可能となる。

(松丸晴香)

(英国、アイルランド)

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