ルーマニア政府、ウクライナ穀物の代替輸出で黒海沿岸港への投資を加速

(ルーマニア、ウクライナ)

ブカレスト発

2023年09月12日

ルーマニア政府は9月8日、黒海沿岸のコンスタンツァ港の近代化に向けた15億レイ(約480億円、レイは通貨単位レウの複数形、1レウ=約32円)の投資計画を閣議決定した。ミハイ・コンスタンティン内閣広報官が閣議後の記者会見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで明らかにした。

コンスタンツァ港はウクライナ穀物の最大の代替輸出ルートで、陸路や鉄道、ドナウ川のバージ(はしけ)輸送によって穀物が運び込まれており、取扱能力の拡大が急務となっている。政府は、同港の穀物取扱能力を現在の月200万トンから400万トンまで拡大させる意向を示している(「ロイター」8月14日)。

今回の港湾近代化計画は、政府の運輸インフラ開発計画で96億2,000万ユーロのEU基金の割り当てを受けた「2021~2027年運輸プログラムPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」の一部で、36カ月の期間で道路、上下水道、配電設備などの既存インフラの近代化、デジタル交通管理システムの導入などが予定されている。

コンスタンツァ港湾局によれば、2022年の貨物取扱量は前年比12%増で過去最高の7,555万トンを記録した。取扱品目では、穀物が31.7%、原油が12.6%を占めた。ロシアのウクライナ侵攻以降のウクライナからの貨物量は1,185万トンに上り、うち半数弱の540万トンが河川経由だった。最大品目の穀物のほか、機器、リン酸塩、積層板、鉄鉱石、コンテナなどが輸送された。

(高崎早和香)

(ルーマニア、ウクライナ)

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