ウルグアイ技術研究所、IT人材の強みを生かしてイノベーション起業を支援

(ウルグアイ)

ブエノスアイレス発

2023年09月25日

ウルグアイの公的機関(LATU)は、英語に強く中南米で最もIT(情報技術)スキル、人工知能(AI)スキルの保有割合が高い同国の人材の強みを生かして、テクノロジーパークを立ち上げ、イノベーション起業支援を行っている。

情報技術産業の業界団体であるウルグアイ情報技術会議所(CUTI)とマイクロソフトによる2022年IT人材共同調査によると、ウルグアイにおける人口1万人当たりのITスキル保有者の割合は64人と、中南米諸国の中で最も高いことが明らかになった(添付資料表参照)。AI分野スキル保有者の割合は、人口1万人当たり2.3人と、同様に中南米諸国の中で最も割合が高かった。言語スキルについても、ITスキルを持つ人のうち、英語の知識があると答えた人の割合が68%と高かった。

ウルグアイ政府は2007年に、初等教育、中等教育において子供1人にラップトップPC(パソコン)1台を与える「セイバル・プラン」と呼ばれる教育モデルを導入し、人材育成に努めてきた。これを推進する機関「セイバル」もテクノロジーパークに立地している。政府は今後、ウルグアイを地域のイノベーション拠点とする方針を掲げており、LATUを、それを担う中核的機関の1つに位置付けている。

LATUは、公的な試験・認証機関であると同時に、同国の科学技術部門が進歩するための基盤づくりを行っており、敷地内に知識経済分野の企業や機関が集積する戦略的拠点「テクノロジーパーク」を有する。

ジェトロがLATUに7月19日にヒアリングしたところ、LATUが管理するテクノロジーパークには、IT企業向けの研修施設である知識開発センター、技術ベースの起業を支援するインキュベーションセンター「インヘニオ」、科学技術学習を支援する科学技術普及センターといった施設が立地している。そのほか、イノベーションを財政面で支援する研究イノベーション庁(ANII)、情報技術産業の業界団体であるウルグアイ情報技術会議所(CUTI)、同国を代表するIT企業のジェネクサスのほか、ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)・ラテンアメリカ研究所、米国マイクロソフトAIコ・イノベーション・ラボも立地しており、テクノロジーパークで事業を立ち上げ、成長させようとするあらゆる企業が共創できる環境を提供している。

テクノロジーパークはフリーゾーンではないため、そこに立地するだけで優遇措置を受けることはできないが、IT企業向けの優遇措置の適用を受ければ税制優遇を得ることができる。

インキュベーションセンター「インヘニオ」は、革新的で収益性の高い企業を育成することを目的に掲げ、これまでに150社の起業を支援してきた。インヘニオの支援期間は2年間だが、支援期間終了後にテクノロジーパークにそのまま立地するスタートアップ企業が多いという。その理由は、テクノロジーパークが上述の共創できる環境を提供しているからだ。

(西澤裕介)

(ウルグアイ)

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