インドのモディ首相、BRICS加盟国拡大を歓迎と表明

(インド)

ニューデリー発

2023年08月30日

インドのナレンドラ・モディ首相は8月24日、インドとしてBRICS加盟国の拡大(2023年8月25日記事参照)を歓迎すると表明した。BRICS加盟国拡大の動きは、多極的な世界秩序を求める国々の団結強化につながることに加え、既存の国際機関に対して時代の変化に適応していかなければならないというメッセージになるとの見解を示した。また、「BRICSへの加盟要望を表明していた国々をパートナー国として迎えられるよう、インドは(関係者間の)合意形成に貢献する」と述べ、今回新たに加盟が認められた6カ国(注)以外とも連携可能性を探りたいとしている。

BRICS加盟国拡大を巡るインド政府の姿勢に関して、インド国内外メディアではさまざまな見方が報じられている。米国メディア「ブルームバーグ」(8月23日)は、拡大後のBRICSが主に中国の立場を代弁する機関となり、G7など米国主導の国際的な枠組みへの対抗手段として使われるようになることをインド側が警戒していたと指摘。また、「クイント」紙(8月24日)によると、中国が新規加盟国に推していたと考えられるパキスタンの加盟について、難色を示していたようだ。

このため、インド政府はBRICSへの新規加盟について、1人当たりGDPの最低基準の設定や欧米諸国の経済制裁対象国の除外など各種要件を求め、慎重な姿勢で臨んだと報道されている。「ロイター」(8月24日)によれば、インド政府がこれらの新しい加盟基準を主張したことで、BRICS諸国間での合意形成に時間がかかり、新規加盟に係る協議は計11時間にも上ったという。

(注)アルゼンチン、エジプト、エチオピア、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)の6カ国。

(広木拓)

(インド)

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