英製薬大手GSKが現地法人の解散を発表
(ナイジェリア、英国)
ラゴス発
2023年08月16日
英国大手製薬会社のグラクソ・スミスクライン(GSK)のナイジェリア拠点である、GSKナイジェリア(グラクソ・スミスクライン・コンシューマー・ナイジェリア)は8月3日、同社を解散し、今後は第三者販売代理店による直接販売モデルに移行すると発表した。GSKナイジェリアは1971年にラゴスで設立した。鎮痛剤のパナドール、歯磨き粉のセンソダインなどのブランドを含む、処方薬、ワクチン、消費者向けヘルスケア製品を製造する、ナイジェリアの大手製薬会社の1つだった。
現地報道によると、同社の解散決定の背景には、外貨不足により外貨建て債務の決済能力に影響が出ていたことや、通貨ナイラの大幅な切り下げ(2023年6月20日記事参照)にあるとされる。また、地場企業製品や、インドや中国からの輸入品との競争激化にさらされて、売り上げが減少したことも一因だ。
現地生産からの撤退と輸入代理店による販売継続の動きはGSKに限ったことではなく、直近では2023年3月、ユニリーバ・ナイジェリアが事業の競争力と収益性を高めるため、ホームケア製品とスキンケア製品の現地生産を中止すると発表している。日系企業では、2022年4月にサントリー食品インターナショナルが、子会社のサントリービバレッジ・アンド・フードナイジェリア(SBFN)(注)をモーリシャスの投資会社アフリカFMCGディストリビューション(AFDL)に15億円で売却している。その後、同社は製造・販売権を付与するライセンス契約をAFDLと結び、自前での生産・販売からは撤退した。
(注)GSKは2013年、飲料部門をサントリー食品インターナショナルに売却した。その後2016年に、サントリーがGSKナイジェリアから清涼飲料事業を約70億円で譲り受け、サントリービバレッジ・アンド・フードナイジェリア(SBFN)として、「ルコゼード」と「ライビーナ」の2飲料ブランドを製造・販売していた。
(馬場安里紗)
(ナイジェリア、英国)
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