デンマーク外相が訪中、グリーン分野の協力で合意

(中国、デンマーク)

調査部中国北アジア課

2023年08月28日

デンマークのラース・ルッケ・ラスムセン外相は8月16~18日、中国を訪問し、18日に王毅外相と会談を行った。会談後、両国は「中国・デンマークグリーン共同合作プログラム(2023-2026)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。

同プログラムでは、両国間の互恵的な発展を促進し、グローバルな課題に手を携えて取り組むことが両国の共通の利益と示した。その上で、気候や環境、海運、食料などの分野を中心に、双方の政府機関や企業代表、利益団体、学術界などによる対話や共同プロジェクトを促進するとした。主な内容は次のとおり。

  1. 気候とエネルギー。気候変動の緩和や、エネルギー転換の領域で協力する。特に、政策策定や規制改革の分野、さらには政策決定者や官僚に気候変動への対応やグリーン転換に関する研修などの分野で協力する。
  2. 環境と水資源。大気汚染の防止と制御などを含む環境保護や、地下水などを含む水資源の持続的な管理、生物多様性の保全などの分野で協力する。
  3. 海運のグリーン化。造船や港湾設備などの分野の知識や経験を共有する。代替燃料の生産、貯蔵、輸送、給油などのインフラ建設を促進する。
  4. 食品と農業。農業の生産性向上やフードロスの削減、動物の健康面の協力を強化、拡大する。

同プログラムの意義について、中国外交部は「中国とデンマークのグリーン分野の協力の新たな試みであり、両国の実務協力が新たな段階に引き上げられ、中国と欧州、さらには国際的なグリーン分野での協力に弾みをつけるものだ」としている。また、デンマーク外務省はプログラムの目的について「分野がより絞られたかたちとなっており(注)、環境やエネルギーなどで両国間の緊密な協力を促進するものだ」としている。

中国とデンマークは2008年、戦略的パートナーシップを締結しており、グローバルな課題で共通の利益があるとした上で、気候変動や環境分野を含め、2国間協力を強化すると定めた。両国は再生可能エネルギーや地熱発電、地下水など、グリーン分野で多岐にわたる協力プログラムを展開している。

(注)両国は2017年、「中国・デンマーク共同作業プログラム2017-2020」を締結しており、2020年に失効した。今回締結したプログラムは、それを代替するものと位置付けられている。

(廣田瑞生)

(中国、デンマーク)

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