ルーマニア中銀、インフレ緩和も政策金利は据え置き
(ルーマニア)
ブカレスト発
2023年08月15日
ルーマニア国立銀行(NBR、中央銀行)は8月7日の金融政策委員会で、政策金利を7.0%に据え置くことを決定した。第2四半期に入ってインフレ緩和傾向が見られるものの、ウクライナの情勢不安や世界的な経済金融引き締めによる供給サイドの不確実性から、引き続き警戒が必要な状況だとした。
インフレ率は2023年3月の14.5%から6月には10.3%まで低下した。燃料価格が前年の価格高騰の反動や、電気代や天然ガス価格の上限設定により下落したほか、食品加工の価格上昇が小幅だったことが主な要因だ。一方で、企業の賃金引き上げや、消費者の旺盛な購買意欲を受けた利幅拡大が商品価格に跳ね返っているほか、輸入品の価格上昇がインフレ圧力として残っているとした。
NBRが8月9日に発表したインフレ予測では、2023年第3四半期が8.9%、同第4四半期が7.5%と徐々に低下が見込まれる。その後、2024年第1四半期には6.6%、2025年第2四半期までに3.8%となり、インフレ目標圏内である1.5%~3.5%の上限に近づくとした。
ルーマニア統計局(INS)の7月7日付の発表によると、2023年第1四半期の実質GDP成長率(季節調整前)は前年同期比2.4%と、前期(2022年第4四半期)の4.5%から大きく低下したものの、主に在庫調整の影響によるもので、民間最終消費支出は公共部門での賃上げもあり拡大傾向とし、総固定資本形成も緩やかな拡大をみせ、ともに2桁台の水準とした。輸出も好調で、2023年第1四半期は前年同期と比べて貿易赤字幅は縮小した。
当地経済アナリストは、NBRのインフレ圧力への懸念に対し、GDP成長率が予測を下回って鈍化することや需給ギャップの解消により払拭(ふっしょく)されるとした。また、NBRは方向転換まで至っておらず、2023年内は金利は据え置かれ、利下げは2024年第1四半期に入ってからで、同年末までに5.5%程度まで進むだろうとの見方を示した(ING銀行8月7日)。
(高崎早和香)
(ルーマニア)
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