オーストラリア連邦政府、2030年までの重要鉱物戦略を発表

(オーストラリア)

シドニー発

2023年07月10日

オーストラリア連邦政府のマデレイン・キング資源・豪北部担当相は6月20日、国内の重要鉱物産業の成長を促すための「重要鉱物戦略2023-2030PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」を発表した。サプライチェーン上流の生産だけでなく、下流の加工・精製工程までを国内で行う能力を構築し、重要鉱物の高付加価値化により自国の利益を拡大することや、自国の資源を活用し再生可能エネルギーの超大国となることが狙いだ。

戦略においては、サプライチェーン構築に向けた国際連携についても取り上げている。今後の主要な方針として、同志国との連携を通じて国内への外国投資誘致やサプライチェーンの多元化を目指すことや、国内の重要鉱物プロジェクトへの外国投資について国益に反することのないように追跡や監視を実施すること、などを挙げた。なお、連邦政府は2023年5月に発表した2023/2024年度(2023年7月~2024年6月)の予算案においても、国内での加工を想定した重要鉱物サプライチェーン構築に向けた海外パートナー国との共同投資案件などに対し4年間で5,710万オーストラリア・ドル(約54億8,160万円、豪ドル、1豪ドル=約96円)を支出する予算措置を発表しており(2023年6月8日記事参照)、戦略でもこの施策を進めていくことが明記された。

戦略に基づいた新たな施策として、連邦政府は北オーストラリア・インフラファシリティ(NAIF)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを通じて5億豪ドルの資金を新規の重要鉱物プロジェクト支援に充てると発表した。特に、下流の加工工程の支援を行う。また、同日付で戦略とともに、26種類の各鉱物の国内・海外生産量(実績)や地質学的に見たオーストラリアのポテンシャルなどを一覧にしたオーストラリア重要鉱物リスト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公表した。リストは、国際的な動向や政府政策の進捗に応じ今後更新されていく予定だ。

オーストラリアは世界でも有数の重要鉱物生産国であり、例えばリチウムは世界最大、コバルトは世界で3番目、レアアースは4番目の生産国だ。キング資源相は、オーストラリアのポテンシャルは大きい一方で、他国政府が重要鉱物関連の投資を奨励しようと競い合っており、世界的な競争が激化していることも課題として指摘した。

(青島春枝)

(オーストラリア)

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