2022/2023年度の輸出額、前年度比6.7%増で過去最高を更新
(バングラデシュ)
ダッカ発
2023年07月10日
バングラデシュ輸出振興庁が7月に発表した輸出統計によると、2022/2023年度(2022年7月~2023年6月)の輸出額は555億5,877万ドルで、過去最大を記録した前年度(2022年7月13日記事参照)比6.7%増となった。主要品目である衣料品の割合は、輸出額全体の85%を占める469億9,161万ドル(10.3%増)まで拡大した。内訳は、ニット類が10.9%増の257億3,820万ドル、布帛(ふはく)類が9.6%増の212億5,341万ドルといずれも伸長し、輸出増を牽引した。
一方で、「農産物(HSコード第4類~24類)」(前年度比27.5%減)、「冷凍・生鮮の海産物(HSコード第1類~3類)」(20.8%減)、「ジュートおよび同製品(第53類、および63類の一部)」(19.1%減)、「革(41類)」(18.5%減)、医薬品をはじめとする「化学製品(28類~30類)」(16.8%減)など、衣料品以外の伝統的な輸出品目においては前年度比で大きく減少した品目が多くみられ、政府の定める同年度の輸出額目標値(580億ドル)に対しては4.2%減となった。
単月でみると、2023年6月の輸出総額は50億3,153万ドル(前年同月比2.5%増)だった。同国では2023年に入り、前年同月比で輸出額の増加率が低迷し、3月単月では前年同月の実績を下回り(2023年4月13日記事参照)、4月にはさらに落ち込んでいたところ、5月は衣料品、特にニット類が堅調に増加した(添付資料表参照)。6月に中央銀行が発表した衣料品産業の第3四半期(2023年1月~3月)レビューによると、同製品の輸出額から生産に必要な原材料の輸入額を差し引いた純輸出額(L/C決済ベース)も2020年以降、堅調に伸長しており、郷里送金と並んで外貨獲得に欠かせない柱となっている。また中央銀行は、バングラデシュの衣料品輸出はロシアによるウクライナ侵攻に端を発したサプライチェーン混乱や全世界的なインフレなどが影響する中で底堅く成長したものの、課題として衣料品産業における多様化、生産性の向上、製品開発のためのイノベーション、同産業に従事するワーカーの能力開発に注力していくことの必要性を指摘した。さらに、新たなグローバルマーケットへの市場開拓を優先すべきことにも言及した。
現地報道によると、縫製品製造業・輸出業協会(BGMEA)のファルク・ハッサン会長は、同国にとって新興マーケットの日本、オーストラリア、韓国およびインドへの輸出増が、さらなる成長に必要と述べた(「フィナンシャル・エキスプレス」紙7月4日)。日本との間では、同国の後発開発途上国(LDC)卒業後を見据えた2国間経済連携協定(EPA)に関する共同研究が進行している(2023年4月19日記事参照)。
(山田和則)
(バングラデシュ)
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