1~6月の港湾貨物取扱量は前年同期比10.5%増、首相は北極海航路の整備を指示

(ロシア)

調査部欧州課

2023年07月14日

ロシア商業海港協会の発表(7月12日)によると、2023年1~6月のロシア海港での貨物取扱量は前年同期比10.5%増の4億5,330万トンだった(添付資料表参照)。ロシア政府は引き続き海運インフラ整備に注力する姿勢を堅持。特に北極圏については、ロシアにとって戦略的な地域として軸足を置いている。直近では、6月6日に北極海航路開発に関する戦略会議が行われたほか、ミハイル・ミシュスチン首相は会議の結果を踏まえて、6月22日に北極海航路整備の指示を出した。

貨物取扱量を品目別で前年同期と比較してみると、石炭(10.5%増)、穀物(2.2倍)、鉱物質肥料(1.6倍)、原油(7.5%増)が大きく伸びた。一方で、鉄鋼(16.8%減)、鉱石(27.0%減)、石油製品(4.0%減)、液化ガス(3.7%減)が減少した。海港所在海域別では、アゾフ・黒海域が21.2%増、カスピ海域が38.0%増だった。

コンテナ貨物については、6月単月のロシア海港の取扱量は前年同月比36.0%増だった。ほとんどの国際航路がロシア市場から撤退し、コンテナ取扱量の減少がピークを迎えた2022年の月間平均取扱量と比較すると、2023年の月間平均取扱量は12%増だったものの、2021年の水準には15%及ばなかった(「インフラ・ニュース」7月11日)。

ロシア政府が「最も重要な航路」と位置付ける北極海航路の開発のための戦略会議が6月6日に開かれ、ミシュスチン首相は6月22日、関係省庁や国営企業に指示を出した。指示内容には、砕氷船やアイスクラス船(注)、非アイスクラス船の建造、船舶部品の開発、海港の開発、救助センターと基地の整備、追加的な安全対策の検討、航海の経済効率化促進などが含まれ、関係省庁や関係企業は指示された期限までに指示内容を達成する必要がある。

(注)アイスクラスとは、船体補強や設備・装備などが一定基準に達している船に対して、その砕氷性能もしくは耐氷性能を証明する公式等級。例えば、国際海事機関(IMO)はPC1~7までの7段階の極地表海船階級を設けている。ロシアでも独自の階級を設けている。

(後藤大輝)

(ロシア)

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