IPEFオンライン閣僚会合開催、米国がインフラ投資支援を発表
(米国、日本、インド、ニュージーランド、韓国、シンガポール、タイ、ベトナム、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、オーストラリア、フィジー)
ニューヨーク発
2023年07月03日
米国商務省は6月29日、インド太平洋経済枠組み(IPEF)のオンライン閣僚会合を開催したと発表した。米国のジーナ・レモンド商務長官が主催し、日本を含む13カ国が参加した。
IPEF参加国は、貿易、サプライチェーン、クリーン経済、公正な経済の4分野で交渉を進め、5月末に米国デトロイトで開いた閣僚会合で、サプライチェーン協定の実質妥結に至った(2023年5月29日記事参照)。商務省の発表によると、今回のオンライン閣僚会合では、5月の閣僚会合で見られた前向きな進展に基づいて、クリーン経済と公正な経済の分野で、できるだけ早期に野心的な成果を達成するという共通のコミットメントを再確認した。また、これら2つの分野で目指されている高水準なコミットメントの将来的な実施を支援するため、技術支援や能力構築を含む具体的な便益を提供することの重要性について議論した。
商務省はオンライン閣僚会合で、米国国際開発金融公社(DFC)が、クリーン経済に関する協定の締約国を含む新興国における持続可能なインフラプロジェクト向けに、3億ドルの融資を承認したと発表した。この融資は、米国のインフラ投資運用会社アイスクエアドキャピタルを通じて行われる。アイスクエアドキャピタルはDFCが1ドル融資するごとに、追加で3ドルを同社が管理するファンドから拠出することから、同社は、追加で最大9億ドルの株式資本を動員する予定だ。DFCのプレスリリースによると、投資対象として、既存インフラの炭素排出を減らすための再生可能エネルギーやデジタルインフラなどを挙げている。レモンド長官は声明で、「米国は、気候危機による緊急的なニーズに応える包摂的な経済開発の支援にコミットしている。この資金は、持続可能なインフラプロジェクトのための大規模な投資を生み出す」と指摘した。
オンライン閣僚会合には、日本から西村康稔経済産業相と山田賢司外務副大臣が出席した。外務省の発表によると、山田外務副大臣は、IPEFにおける包摂性を確保する上で、IPEFメンバーに対する具体的な協力が重要だと強調し、日本としてODAを活用した対政府支援策として研修などを実施すると述べた。
IPEF参加国は7月9~15日に、韓国・釜山で第4回交渉官会合を開く予定となっている。米国通商代表部(USTR)の発表によると、サラ・ビアンキUSTR次席代表は同会合に先立ち、6月下旬にフィリピンと韓国を訪問し、IPEFの貿易分野において、高い基準で合意に至ることの重要性などについて議論した。
(甲斐野裕之)
(米国、日本、インド、ニュージーランド、韓国、シンガポール、タイ、ベトナム、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、オーストラリア、フィジー)
ビジネス短信 41b6ce0357a174da