ベルギー企業155社がセネガルを訪問、港湾・製薬などで関係強化
(ベルギー、セネガル)
ブリュッセル発
2023年06月02日
ベルギー連邦外務省は、対外貿易庁および3地域の貿易投資促進機関(注)と共同で、5月21~25日にアストリッド王女が率いる経済ミッションをセネガルに派遣した。本ミッションには、インフラ・建設、ロジスティクス、製薬、エネルギー、食品加工などの分野を中心に、ベルギー企業155社が参加した。
2国間の貿易関係をみると、セネガルにとってベルギーは欧州諸国の中で主要な輸入相手国で、石油製品など鉱物製品を中心に2022年は約11億ユーロを輸入している。一方、同年のセネガルからベルギーへの輸出額は、リン酸カルシウムを中心に約3,700万ユーロで、ベルギー側の大幅な輸出超過となっている。
アフリカ大陸の西端に位置するセネガルは500キロ以上の海岸線を有し、西アフリカの主要港の1つであるダカール港を擁することから、ベルギーが優位性を持つ港湾インフラを軸とした関係が深い。近年ではワクチン製造など、ベルギーが競争力を有する製薬・ライフサイエンス分野でも協力関係を深めている(2021年11月1日記事参照)。
連邦外務省の発表によると、今回のミッションでは企業、大学など産学分野で38件の合意が締結された。港湾関連では、アントワープ・ブルージュ港や、ダカールを拠点とするロジスティクス企業のCSTTなど4社による連携合意が結ばれ、ダカール港のマルチパーパス・マルチモーダルターミナルの開発や、ダカール港の機能を補うための第2港の建設を目指すとしている。学術分野では、ブリュッセル自由大学、ジュネーブ大学、モントリオール大学の3校で構成されるコンソーシアムと、ダカールのシェイク・アンタ・ジョップ大学との間で、教員や学生の交流や、共同研究プロジェクトの実施などを目指す合意が締結された。
今回のミッションは、バイオテクノロジー企業のUnivercellsがダカールのパスツール研究所と共同で建設を進めるワクチン製造施設や、カルミューズ(鉱物資源開発)の石灰生産施設、スムラン・パッケージング(包装材)の現地法人であるCIFのポリプロピレン袋の生産工場拡張や稼働予定のリサイクル施設など、既存案件のプロジェクトサイトを訪問し、その進捗を確認・披露する機会としても活用された。
(注)ベルギーは連邦制を採用しており、フランダース、ワロン、ブリュッセル首都圏の各地域政府が経済政策を管轄している。
(山田泰慎)
(ベルギー、セネガル)
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