英政府、開発途上国の気候変動災害の影響緩和に向けた取り組み発表
(英国、アフリカ、中南米)
ロンドン発
2023年06月29日
英国のアンドリュー・ミッチェル外務・英連邦・開発省国務相は6月22日、英国輸出信用保証局(UKEF)がアフリカおよびカリブ海の12カ国との間で、気候(変動)にレジリエントな債務条項(CRDCs)の利用に関する議論を開始したことを発表した。フランス・パリで行われた新グローバル金融協定サミットのサイドイベントで発表した。同条項は、各国が気候変動災害の影響を受けた場合に債務返済を繰り延べできるようにするもので、エジプトで開催された国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)において、UKEFの融資契約に盛り込むことが発表されていた(2022年11月17日記事参照)。ミッチェル氏は、12カ国との新規ならびに既存融資契約に対して、CRDCsを盛り込む方向で議論をしているとしており、今後数カ月間で導入される予定としている。なお、UKEFは現在、低所得国・島しょ国でのクリーン成長プロジェクトに対しに対して約20億ポンド(約3,640億円、1ポンド=約182円)規模の直接融資枠を設定している。
英国は、各債権国に対してもCRDCsの利用を促している。ミッチェル氏はフランス、バルバドス政府とともに、全ての2国間、多数国間、および民間融資について2025年末までにCRDCsを盛り込むことを求めた。UKEFは6月22日にCRDCsのひな型を公開している(UKEFウェブサイト参照)。
英国のほか、米国は2国間融資について可能な場合CRDCsを盛り込む予定(各国・各機関の取り組みの詳細はサミットウェブサイト参照)。米州開発銀行の主導のもと、9つの国際開発金融機関が連携しCRDCsの提供を検討する。フランスも財務省による低金利融資へのCRDCsの追加を決定したほか、開発庁(AFD)による融資への導入を検討するとしている。
さらに英国政府は、出資する2つの機関を通じて、CRDCsに関心を持つ他国の支援も行う予定としている。
(チャウジュリー・クリシュナ)
(英国、アフリカ、中南米)
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