アフリカ開発銀行、15億ドルのグリーン分野の投資案件を公表

(アフリカ、エジプト)

中東アフリカ課

2023年05月30日

アフリカ開発銀行(AfDB)は5月22~26日、エジプトのシャルム・エル・シェイクで、2023年の年次総会を「アフリカのグリーン成長に向けた民間投資促進」とのテーマで開催した。

AfDBのアキンウミ・アデシナ総裁は同会合で、アフリカの気候変動対策に関する資金援助が不足していると指摘した。加えて、途上国に対して気候変動対策のため、毎年1,000億ドルを援助するとの公約について、あらためて先進国に要請した。また、アフリカへのODAが伸び悩んでおり、各国の債務も増加傾向のため、民間資金を取り込むことの重要性を強調した。

会期中には、アフリカへの投資促進のため、アフリカの国際機関や金融機関の共催で「アフリカ投資フォーラム」が開催された。AfDBは同フォーラムで、再生可能エネルギー案件など合計で約15億ドルのグリーン関連プロジェクトについて、資金調達中と公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。主な投資案件は次のとおり。

  • 南部アフリカでの合計4億4,000万ドルの独立系水力発電事業者への投資により、年間54万メガワット時(MWh)の発電プロジェクト。水の供給や洪水防止の役割も兼ねる。
  • グリーンアンモニア生産プロジェクト。1日当たり400メガワット(MW)の再エネを利用してグリーン水素を生産し、その水素をもとにアンモニアを1,000トン生産する見込み。
  • 西アフリカの27MWの水力発電プロジェクト。70万世帯へ電量を提供し、600人の雇用創出も目指す。毎年約8万1,000トンの二酸化炭素(CO2)排出の削減につながる見込み。
  • アフリカ7カ国でのプラスチックリサイクル事業(準備・案件化調査、技術支援など)。約21万トンのプラスチック廃棄物リサイクルにより、約15万トンのCO2排出の削減となる見込み。携帯電話のアプリを回収・支払いに活用する。アフリカのプラスチックのうちリサイクルされるのはわずか10%で、アフリカ全域への拡大も視野。

このほか、過去のアフリカ投資フォーラムで紹介された投資案件のうち資金調達中もしくは融資判断中の投資案件は90件に上り、合計金額は629億ドルとなっていることが報告された。

(井澤壌士)

(アフリカ、エジプト)

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