南部のザウザイ～ファンティエット高速道路が開通

ベトナム南部のドンナイ省とビントゥアン省を結ぶザウザイ～ファンティエット高速道路の開通式が4月29日に行われた。ファム・ミン・チン首相やグエン・ドゥック・ハイ国会副議長らが出席した。この開通により、ホーチミン市から東のビントゥアン省ファンティエットまで向かう交通の改善が見込まれる。

ザウザイ～ファンティエット高速道路は全長99キロで、ホーチミン市東部に隣接するドンナイ省（全長51.5キロ）と、その東に位置するビントゥアン省（全長47.5キロ）を結ぶ。2020年9月末に着工し、建設費用は12兆5,000億ドン（約713億円、1ドン＝約0.0057円）。道幅は約32メートルで、6車線からなる。ビントゥアン省の担当者によると、今後7つのインターチェンジに料金所が設置され、全区間通行時の料金は車の積載量に応じて、7万8,000ドンから29万5,000ドンに設定される予定だ（注）。

これまでホーチミン市からビントゥアン省ファンティエット市までの車移動は、国道1A号線を経由して3時間半から4時間程度を要したが、同高速道路の開通によって2時間に短縮され、物流の利便性向上とともに、国道1A号線の交通渋滞の緩和が見込まれる。

ビントゥアン省は、ファンティエット市内にあるムイネーのビーチや砂漠といった観光資源を持ち、リゾート開発が進んでいる。同省統計局によると、2023年第1四半期（1～3月）に同省を訪れた旅行者数（推定値）は前年同期比2.2倍の208万2,600人。そのうち、国外からの旅行者数は前年同期比7.3倍の約6万7,800人で、主に韓国、ドイツ、ロシアからの観光客となっている。

当地の日系旅行会社は「ホーチミン市からファンティエット市への車移動にはこれまで15～30分の休憩を入れていたが、今回の開通により休憩なしで行けるようになった」と話し、移動時間の短縮によって同省への旅行者が増加することに期待を寄せている（ジェトロによるヒアリング5月9日）。

（注）4月29日時点では、既に3つのインターチェンジと料金所が設置済みで、現在は無料で通行が可能。

（児玉良平）