米サンフランシスコ、住民による市内の安全性評価は過去20年で最低、各種経済指標は新型コロナ禍前以下

(米国)

サンフランシスコ発

2023年04月20日

米国のサンフランシスコ市は4月13日、住民向けに実施したアンケート結果PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した(注)。同アンケートは、市の行政サービス(上下水道、道路、レクリエーション・公園、図書館、交通機関、安全)の利用状況や満足度などを評価する目的で、1996年から2004年までは毎年、2005年からは隔年で実施されてきた。

そのなかで、住民の「安全性」への評価は、C+(3.3)となり、1996年の調査開始以来、過去最低となった。同アンケートは、多くの質問が5段階(A、B、C、D、F)の中から選択する形式をとっている。日中に近所を一人で歩いていて安全、またはとても安全だとした回答者は63%だが、夜間については36%にとどまった。エリア別にみると、パシフィックハイツ、フィナンシャルディストリクト/サウスビーチ、ビスタシオンバレー、テンダーロインで、日中および夜間に一人で歩いていて安全だとする割合は4分の1未満にとどまった。また、低所得層は、高所得層と比較して安全だとする割合が低いことも示されている。例えば、年収5万ドル以下の低所得層の同割合は32%で一番低かった。人種・民族別では、アジアまたは太平洋諸島を起源にする回答者が30%で一番低かった。

同アンケートでは、サンフランシスコ市が直面している「ホームレス」「適正な住宅価格」「公衆安全」「街の清潔さ」の4つの重要課題についても、「改善した」「変わらない」「悪化した」の3段階で聞いている。ホームレスの課題がここ数年で「悪化した」と答えた割合は75%、適正な住宅価格は63%、公衆安全は62%、街の清潔さは54%で、いずれにおいても、「改善した」「変わらない」を上回った。

また、サンフランシスコ市が2023年4月5日に発表した、現在の経済状況をまとめた資料PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、複数の指標で、新型コロナ禍前を下回る状況が続いていることがわかった。1月から3月22日までのサンフランシスコの週別のオフィス出勤率は、約40%程度で推移した。ホテルの稼働率はほとんどの週で、新型コロナ禍前の2019年の平均値(約80%)を下回っている。ゴールデンゲートブリッジとベイ・ブリッジの2月までの月間通行量も、2019年の平均を下回る状況が続く。市内の公共交通機関Muniの月別利用者数は回復傾向にあるものの、2023年2月の利用者数は2019年同月の52%、公共交通機関のBARTの2023年2月の市内中心部駅の乗降客数は、2019年同月の約30%にとどまる。

(注)アンケート調査は2022年10月から12月にかけて、サンフランシスコの住民2,530人に対してオンライン、電話、または対面で実施。新型コロナウイルスの感染拡大により2021年の調査が中止となったため、2023年で18回目の調査となる。サンフランシスコ市の全人口とアンケート回答者の標本の間の人口統計学的な差異を調整した上で、5段階評価の平均点、平均点に基づいたA+からFまでの評点、AまたはBを選択した回答者の割合の3つの指標を主に報告している。

(石橋裕貴)

(米国)

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