大学における起業環境、ドイツ南部の2大学が高評価を獲得
(ドイツ)
ミュンヘン発
2023年03月01日
ドイツ科学助成財団連盟(Stifterverband für die Deutsche Wissenschaft)は2月15日、ドイツの大学での起業支援の整備状況などをランク付けした「起業レーダー2022」を公表した。
本調査は、ドイツ科学助成財団連盟が連邦経済・気候保護省の支援を受けて、2012年からおよそ2年ごとに実施しているもの。ドイツの公立・私立・教会立の大学について、大学での起業支援の整備状況や実績を、起業への導き・具現化、起業向け教育、サポート、起業支援ネットワークなど7つのカテゴリーで評価した。今回の調査には、ドイツ国内382校の調査対象大学のうち236校が参加、うち起業支援を実施している大学は196校だった。調査期間は原則、2022年5月から7月まで。
上記7つのカテゴリーで評価した総合ランキングを、大規模大学(学生1万5,000人超)、中規模大学(5,000人以上1万5,000人以下)、小規模大学(5,000人未満)別に発表した。大規模大学で1位はミュンヘン専門大学(HM)だった。ミュンヘン専門大学には、起業を支援する「シュトラシェック起業センター(SCE)」が併設されており、2022年には計35のスタートアップ企業が生まれたという。SCEに支援を受けている、または、過去に支援を受けたスタートアップはSCEウェブサイトで確認できる。
中規模大学で1位となったのは、アウクスブルク専門大学(HSA)。アウクスブルク専門大学にも起業を支援する組織である「HSA_フンケンベルク(HAS_Funkenwerk)」があり、同大学からの起業、スケールアップ、国際展開などを支援している。関連スタートアップは同組織ウェブサイトで確認できる。
小規模大学では、HHLライプチヒ経営大学院が1位となった。
大学からの起業数は過去最高
本調査では、調査に参加した大学からの起業数(注)も発表、2021年は2,779件で、前回調査の2019年の2,176件から増加した。今回と前回の両方の調査に参加した大学のみで比較すると、2019年の1,926件から2021年の2,336件に増加した。なお、初調査(2012年)では1,145件だった。
今回調査の起業数2,779件のうち、科学または技術移転に関するものは1,108件だった。主な分野としては、ソフトウエア(386件)、インターネット関連(219件)、通信(145件)、機械・オートメーション(86件)、環境技術(73件)、医薬技術(64件)などだった。
(注)現役の学生、卒業生、または在籍研究者による起業数を計上。起業とは、スピンオフ、社会的企業、スタートアップのいずれかの設立を指す。
(高塚一)
(ドイツ)
ビジネス短信 43a47f5f61a5cf4f