2022年の総賃金の中央値が5,070Sドル、前年比8.3%増

(シンガポール)

シンガポール発

2023年02月07日

シンガポール人材省のシンガポール国民(永住権者を含む)を対象にした労働力統計(1月31日発表)によると、2022年6月時点の総賃金〔雇用主の中央積立基金(CPF)負担額を含む〕の中央値は月5,070シンガポール・ドル(約50万7,000円、Sドル、1Sドル=約100円)と、前年比8.3%増加した(添付資料図参照)。2022年の総賃金の上昇幅は2021年の3.2%増を大きく上回った。また、2022年のインフレ率を加味した実質総賃金の上昇幅も2.0%増と、2021年の0.9%増を上回った。

同統計によると、15歳以上の国民(永住権者を含む)の雇用率は2022年に67.5%と、新型コロナウイルス流行前の2019年の水準(65.2%)を2.3ポイント上回った。人材省はこの理由について「雇用状況が新型コロナウイルス流行前のレベルに改善する中、より多くの失業者が就業先を見つけている」ためとの見方を示した。専門職・幹部・技術職(PMET)の国民の失業率は2022年に2.6%と、2021年の3.4%から低下。また、非PMETの国民の失業率も2022年に4.4%と、2021年の5.1%から低下し、新型コロナウイルスの流行沈静化による経済回復で失業率が2年連続で低下した。

過去2年間で転職した人が16.8%に上昇

一方、同統計によると、過去2年間で転職した人の割合は2022年に16.8%と前年の15.3%を上回り、2015年(17.5%)の水準にまで上昇しつつある。特に若い世代での転職者が多く、25~29歳の国民で過去1年間に転職した人は18.1%、15~24歳では17.9%だった。人材省は「2022年には人材需要が高まった結果、より多くの人が新たな就労機会を求めたか、パンデミックの間には控えていた転職を再開した可能性」を指摘した。

このほか、就労者に占める学位取得者は2022年6月時点で41.6%と、2012年の6月時点(29.4%)と比べて大きく拡大した。また、国民の就労者に占める学位取得者と高等専門学校の卒業者(ディプロマ)、専門資格保有者を合わせた割合は2022年6月時点で、61.9%だった。

(本田智津絵)

(シンガポール)

ビジネス短信 3e6e907e793b4f60