ドイツ自動車産業連合会、半導体不足と自動車生産への影響に関する調査結果を発表

(ドイツ、世界)

ミュンヘン発

2023年02月08日

ドイツ自動車産業連合会(VDA)は126日、半導体不足による世界自動車生産への影響に関する調査結果を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。半導体不足に対して適切な対策が講じられない場合、自動車の世界生産は2026年までに20%(約1,800万台)減少すると予測した。同調査は併せて、半導体不足が2021年の世界の自動車生産を9%減少させたとした。

同調査によると、2030年までに半導体需要は産業全体では1.8倍となるのに対し、自動車産業では3倍まで拡大する。2030年の自動車産業の半導体需要は、移動通信分野、データ処理分野に続き、総需要の14%を占めるという(現在のシェアは8%)。VDAは自動車産業向け半導体需要が伸びる要因として、(1)自動車の電動化、(2)先進運転支援システム(ADAS)の普及、(3)自動運転技術などの機能拡大を挙げた。

また、同調査は、自動車産業が必要とする半導体と、半導体生産・投資の方向性にズレがあるとした。具体的には、自動車産業では2030年までに、回路線幅90ナノメートル(nm)以上の半導体需要が全体の約60%を占める予測である一方、世界全体の半導体産業の2025年までの投資計画では、65nm以上への投資は2割未満にすぎないとした。

なお、中国の半導体企業は同国内の自動車産業向けに、回路線幅90nm以上の半導体への投資も行っているという。中国以外では、7nm以下の半導体が主に助成・投資の対象になっている。例えば、高い演算能力を維持しながらエネルギー効率を向上できるマイクロプロセッサなどが該当する。

VDAのヒルデガルト・ミュラー会長は今回の調査結果を受けて、「欧州半導体法案」を実現し、自動車産業にとって重要な半導体への投資や生産の拡大を求めた。それにより「半導体のアジア依存を最小化し、欧州・ドイツ自動車産業のレジリエンスを高められる」という。欧州委員会は20222月、EU域内での半導体の研究開発・生産の強化と安定供給に向けた「欧州半導体法案」を発表している(2022210日記事参照、注)。

(注)EUの半導体政策の概要は、ジェトロ調査レポート「EUの半導体政策と半導体法案の概要PDFファイル(558KB)」(20228月)参照。

(クラウディア・フェンデル、高塚一)

(ドイツ、世界)

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