アフリカ大陸の経済成長見通し、2022年は3.8%、2023年と2024年は4%程度
(アフリカ、南アフリカ共和国、コートジボワール、ナイジェリア、リビア、モロッコ、ルワンダ、エチオピア、ウガンダ)
中東アフリカ課
2023年01月30日
アフリカ開発銀行(AfDB)は1月18日、「アフリカのマクロ経済パフォーマンスと見通し」を発表した。アフリカ大陸のGDP平均成長率は、2021年の4.8%から2022年に3.8%へ減速し、2023年から2024年にかけて年4%程度で安定すると予測している。2022年は高いインフレ率と外需の低迷、世界的な金融情勢の緊迫により、成長が鈍化した。2023年と2024年には、アフリカ各国による経済回復のための継続的な政策実施と、アフリカ産品の輸出総額の約40%を占めるアジアの安定的な成長と中国のゼロコロナ政策の大幅緩和が成長を後押しする可能性があるとしている。
成長率の予測を地域別に見ると、中部アフリカは2021年の3.6%から、2022年には地域別では最も高い4.7%となり、2023年は4.3%、2024年は4.2%で安定するとしている。原油、鉱物などの高騰が寄与する。
南部アフリカは2021年の4.3%から、2022年には地域別では最も低い2.5%とみている。金利上昇や内需低迷、停電などによる南アフリカ共和国の成長停滞が要因だ。2023年は2.3%、2024年は2.8%と低調に推移するという。
西部アフリカは、コートジボワールとナイジェリアの減速を反映して、2021年の4.4%から2022年に3.6%へ低下する。2023年は4.1%、2024年は4.3%に持ち直すとしている。ナイジェリアは2022年に消費者需要の低迷や原油生産量の大幅減少によって成長が減速したが、2023年の総選挙が平和的に行われれば、投資家の信頼が高まり、2023年、2024年の同国と同地域の成長率引き上げにつながる。
北部アフリカでは、リビアの急激な縮小とモロッコの干ばつにより、2021年の5.4%から2022年に4.3%へ低下する。両国の力強い経済回復によって2023年は4.3%で安定するが、2024年にはリビアの政治状況などが影響し、3.4%となるという。
東部アフリカでは、2021年の5.1%から2022年には4.2%へ減速し、2023年には5.0%、2024年には5.4%へ上昇する。2022年は「アフリカの角」での干ばつや、国際的な物価高騰の影響を受けたが、2023年、2024年にはルワンダやエチオピアのインフラ投資と、ウガンダの石油部門の発展が同地域の経済成長を牽引しそうだ。
アフリカの平均インフレ率は、2021年の12.9%から2022年には13.8%に上昇し、過去10年で最高になると推定される。地域別では東部(25.3%)、西部(16.8%)、南部(13.2%)、北部(8.1%)、中部(7.3%)となった。2022年はロシアのウクライナ侵攻による食糧・エネルギー価格高騰や、世界的なサプライチェーンの混乱が主因となってインフレ率が高騰したが、現在の金融引き締めと食糧供給状況の改善により、インフレ率は徐々に緩和され、2023年には13.5%、2024年には8.8%に低下すると予測される。
(天神和泉)
(アフリカ、南アフリカ共和国、コートジボワール、ナイジェリア、リビア、モロッコ、ルワンダ、エチオピア、ウガンダ)
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