ウルグアイがCPTPP加入を正式申請、メルコスール執行機関で加盟3カ国が連名で非難

(ウルグアイ、メルコスール)

ブエノスアイレス発

2022年12月02日

ウルグアイ大統領府は12月1日、ニュージーランドを訪れたフランシスコ・ブスティージョ外相がダミアン・オコナー貿易・輸出振興相と会談し、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)への加入を正式に申請したと発表した。ウルグアイのルイス・ラカジェ・ポウ大統領は自身の公式ツイッターで「CPTPPへの加入は、わが国、わが国民により多くの機会をもたらすだろう。ウルグアイは世界に開かれている。国民と国の可能性を信じている」と述べた。

ウルグアイが正式な加入申請を行う前日、共同市場グループ(GMC、注)のアルゼンチン、ブラジル、パラグアイ3カ国のコーディネーターは連名で、ウルグアイが進める中国との2国間の自由貿易協定(FTA)締結や、CPTPPへの加入を目指す動きを非難した。3カ国のコーディネーターによる声明はアルゼンチン外務省の公式ツイッターを通じて発し、自国の利益を守るための必要な措置を取ることも辞さないとしている。ウルグアイが2国間FTAを目指す動きをこれまで静観してきたブラジルがウルグアイを非難する声明に名を連ねたのは、これまでにないことだ。

ウルグアイ政府は、2億人を超える巨大な域内市場へのアクセスと通商交渉のプラットフォームとしての機能に期待してメルコスールに参加したが、メルコスール創設から30年が経ち、通商交渉の速度を上げるには足かせとなるようになったと主張している。ウルグアイは食料供給国として輸出余力があり、輸出拡大には市場アクセスの改善が必要なことから、中国とのFTA締結やCPTPP加入へ動き始めた。2022年に入り、ウルグアイがかねて主張してきたメルコスールの柔軟化に関する議論は表立っては行われてこなかったが、12月5日に外相、経済相らによる共同市場審議会(CMC)、翌6日にはメルコスール首脳会議が予定されており、その中でメルコスールの柔軟化に関する議論が再び脚光を浴びる可能性がある。

(注)南米南部共同市場(メルコスール)の執行機関で、各国の外務省、経済省、中央銀行代表で構成している。

(西澤裕介)

(ウルグアイ、メルコスール)

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