西アフリカ開発銀行、COP27で気候変動ファイナンスの目標引き上げを発表

(コートジボワール、西アフリカ)

アビジャン発

2022年11月30日

西アフリカ経済通貨同盟(UEMOA8カ国が加盟する西アフリカ開発銀行(BOAD)は1114日、エジプトでの国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP272022年11月7日記事参照)の傍ら、地域加盟国を支援するため、2021年から2025年までの気候変動ファイナンスについて、その目標を投融資案件の25%に当たる13億ドルに引き上げると発表した。

BOADのセルジュ・エクエ総裁は気候変動対策の優先分野として、第1に食の安全保障にフォーカスしている。特にサヘル地域干ばつ対策国家間委員会(CILSS)とともに、地域の能力を強化し、スマート農業の開発を通じて食糧不安の克服に取り組んでいくとしている。同総裁は「食糧安全保障の取り組みで、BOADはコミットメント全体の14%を農業に充てる」としている。

BOADはもう1つの課題として、地域における「公正なエネルギー転換」に焦点を充てている。主に太陽光発電を中心としたクリーンな電源と、地域間電力網接続を組み合わせた380メガワット(MW)の発電能力開発への資金提供を計画している。ここでは、独立系発電業者(IPP)や官民連携(PPP)を通じて大規模な民間資本を誘致するために、エネルギー分野の規制の枠組みや公的機関の能力を強化することに取り組んでいく。

UEMOAの人口は、2019年の12,700万人から2050年には28,000万人に倍増すると予想されている。世界銀行によると、地域の主要都市では、人口増加に伴って急速な都市化が進み、インフラ整備と気候問題に配慮した持続可能なグリーン都市開発が課題となっている。BOADは、気候変動問題に対応したインフラを備えた持続可能な都市化モデルを開発する取り組みを支援していくとしている。

エクエ総裁は、UEMOA地域で約1,800万トンの二酸化炭素(CO2)削減に貢献しながら、気候変動に強靭(きょうじん)な成長と開発の軌道への移行を実現できるよう、引き続き強くコミットすると述べている。

(渡辺久美子)

(コートジボワール、西アフリカ)

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