AMROのASEAN+3見通し、経済成長は下方、インフレは上方修正

(中国、香港、日本、韓国、ASEAN、ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)

シンガポール発

2022年10月13日

シンガポールにある国際機関のASEAN+3マクロ経済リサーチオフィス(AMRO)は10月6日、ASEAN+3(中国、香港、日本、韓国)の2022年の実質GDP伸び率を前年比3.7%とする予測を発表した(添付資料表参照)。前回(7月発表)の4.3%から0.6ポイント(注)下方修正した。グループ別にみると、「+3」(プラス3)の2022年の見通しを3.3%と、前回(4.1%)から0.8ポイント下方修正した。

プラス3のうち、中国を3.8%とし、前回(4.8%)から1.0ポイント下方修正した。AMROは「厳格な新型コロナウイルス感染拡大抑制策と不動産セクターの弱さによって、中国の(経済)回復は抑制されている」と指摘する。対照的に、ASEANは5.3%と、前回(5.1%)から0.2ポイント上方修正した。「(経済活動の)再開が急速に進んでいる」としている。

2023年は、ASEAN+3全体は4.6%(前回4.9%)、ASEANも4.9%(前回5.2%)と、それぞれ0.3ポイント下方修正した。AMROは「欧州のエネルギー危機と米国FRB(準備制度理事会)のインフレーションに対するタカ派的なスタンスは、世界的な景気後退の可能性を高めている」とし、「世界的な需要の減退は輸出の減速を意味し、国内の金融引き締めは内需を減退させる」と指摘した。

一方、ASEAN+3地域の消費者物価指数の上昇率(インフレ率)は、2022年と2023年ともに、前回から上方修正した(2022年:前回5.2%→今回6.2%、2023年2.8%→3.4%)。AMROは2022年の見込みを上方修正した要因について「コストプッシュ要因の持続や、為替レートの下落、堅調な内需の回復」を挙げた。なお「世界的な石油・農産物価格が引き続き低下するとともに、サプライチェーンのボトルネックが解消されつつある」として、2023年は地域全体で物価上昇圧力が弱まると予測した。

(注)小数点第1位までの比較。

(朝倉啓介)

(中国、香港、日本、韓国、ASEAN、ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)

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