国内製造業の9割近くが調達戦略を見直し

(ドイツ)

ミュンヘン発

2022年10月19日

ドイツの主要経済研究所の1つ、ifo経済研究所は10月6日、ドイツ企業の調達戦略に関するアンケート結果を公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。回答した製造業の9割近くが新型コロナウイルス感染拡大による世界的なサプライチェーン逼迫を受け、調達戦略を見直したことが判明した。

アンケートは7月に約4,000の国内企業を対象にに実施した。業種は製造業、卸売業、小売業。新型コロナウイルスによる世界的なサプライチェーン逼迫への対応については、製造業の87%、卸売業の76%、小売業の63%が「対応した」と回答した。ifo経済研究所が2021年5月に実施したアンケートでは、「対応した」とした回答企業は5割に満たなかった。このため、ifo経済研究所は、多くの企業が2021年5月以降、サプライチェーンにおけるリスクをあらためて評価し、調達戦略を適応させたとみている。

サプライチェーンが寸断されることへの具体的対策について、製造業に聞いたところ(複数回答)、「在庫積み増し」が68%で最も多かった。ifo経済研究所はこの点について、企業が在庫積み増しによるコスト増と有益性を見直し、ジャスト・イン・タイムの生産を一部減らした結果と分析している。続いて「調達多様化・新調達先の開拓」が65%、「サプライチェーンのより精緻な監視」が54%、「既存調達先の見直し」が38%となった。「社内での生産(インソーシング)」は13%にとどまった。

大企業と中小企業で対応策に差が出ている。サプライチェーンが寸断されることへの具体的対策について、大企業(製造業、複数回答)は「調達多様化・新調達先の開拓」が72%と最も多かった。一方で、中小企業(同)は「在庫積み増し」が73%で最多だった。ifo経済研究所はこの点について、調達多様化はより多くのコストがかかる可能性があるため、中小企業には難しい選択肢という可能性があるとしている。

今後12カ月に予定する調達戦略の見直しについて(複数回答)、製造業の47%が「調達多様化・新調達先の開拓」、36%が「在庫積み増し」、「サプライチェーンのより精緻な監視」と回答した。ドイツ企業は今後も調達戦略の見直しを継続すると見込まれる。ifo経済研究所は、多国間のルールに基づく貿易システムの強化や、2国間貿易協定のさらなる整備などが企業の調達戦略見直しに資するとしている。

(高塚一)

(ドイツ)

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