アフリカの食料価格にさらなる上昇圧力

(アフリカ、セネガル、コートジボワール、ナイジェリア、インド、パキスタン)

中東アフリカ課

2022年10月20日

ロシアのウクライナ侵攻による食料価格の高騰で、経済に深刻な影響を受けるアフリカにおいて、インドが9月から導入したコメの輸出制限措置や、9月に発生したパキスタンの洪水が当地の食料価格にさらなる上昇圧力となっている。

インド政府は9月8日、破砕米の輸出禁止と、バスマティ米以外の種類のコメに対して20%の輸出関税を課すことを発表した。国際価格の上昇に対して、国内供給を優先し、物価上昇を抑える狙いとされている。当初は9月末までとされていたが、その後延長され、現在は輸出禁止措置以前にL/C決済されたもののみ許可制で輸出が可能となっているものの、実質的な禁輸措置の解除には至っていない。

増加する人口と食料供給の伸び悩みを背景に、アフリカの食料輸入は急増しており、2021年にはアフリカは約70億ドルのコメを世界各国から輸入した。インドからのコメ輸入が最大で、特に2020年以降、輸入額が急増している。インドのシェアは金額ベースで45.7%(約32億ドル)にも上り、パキスタンからの輸入も、タイ(17.5%、約12億ドル)に続く3位で6.6%(約4億6,000万ドル)を占めている(添付資料図参照)。

2021年にはアフリカ50カ国がインドからコメを輸入しているが、そのうち最も影響が大きいのが、コメを主食とするセネガルやナイジェリア、コートジボワールなどの西アフリカ諸国だ。インドからの輸入額約32億ドルのうち、約20億ドルは西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)(注)の加盟国が輸入している。セネガルのマッキー・サル大統領が、インドおよびパキスタン政府と破砕米の輸入に関する交渉を行う意向を示すなど(ロイター通信)、さらなる食料価格の上昇圧力に懸念を表明している。

(注)西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)の加盟15カ国(ベナン、ブルキナファソ、カーボベルデ、コートジボワール、ガンビア、ガーナ、ギニア、ギニアビサウ、リベリア、マリ、ニジェール、ナイジェリア、セネガル、シエラレオネ、トーゴ)。

(佐藤丈治)

(アフリカ、セネガル、コートジボワール、ナイジェリア、インド、パキスタン)

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