ベトナム、IPEF交渉参加も内容には慎重な面も
(ベトナム)
ハノイ発
2022年09月15日
インド太平洋経済枠組み(IPEF)の閣僚級会合が9月8~9日に米国ロサンゼルスで開催され(2022年9月12日記事参照)、ベトナムからはグエン・ホン・ジエン商工相が出席した。ジエン大臣は、IPEF参加への積極的な姿勢を示しながらも、交渉内容については慎重な姿勢を保った。
ベトナム商工省ウェブサイトによると、ジエン大臣はIPEFの閣僚声明が参加国の多様性と個々の発展レベルを尊重した内容になっている点を評価した。また、関係省庁や業界と連携の上、IPEFのそれぞれの柱(貿易、サプライチェーン、クリーン経済、公正な経済の4つの柱で構成)について国内協議を加速し、特定の分野での交渉に積極的に参加していく意向を示した。一方、参加各国が柔軟で実利に即した姿勢を維持することや、各国が枠組み参加で得られる具体的な成果と利益を明確にすることが必要と話した。さらに、開発水準が異なる国が参加する上で、技術支援や能力開発を実現するための制度設計が必要だと言及。貿易円滑化や脱炭素化などの課題に直面するベトナムへの支援に期待を示した。
IPEFは柱ごとに参加各国が交渉参加を自由に選択できる。交渉目標の中には、人権や環境問題など米国政権が主導する内容が含まれており、これらの交渉分野に参加することで、ベトナムは国内法令や政策の変更を迫られる可能性がある。そのため、どの交渉分野に参加するか、ベトナムは自国の利益を踏まえながら検討している状況といえる。
クリーン経済で米国に協力要請
柱の1つのクリーン経済について、ジエン大臣は訪米期間を利用した積極的な外交を行った。閣僚級会合に先立つ9月7日、ジエン大臣はジーナ・レモンド米国商務長官と2国間会談を行った。会談では、ベトナムがシンガポールやブルネイとともに、脱炭素化・エネルギー転換、エネルギー安全保障を促進するイニシアチブを進めていることを説明し、米国に技術面やファイナンス面での協力を要請した。8日にはシンガポールのガン・キムヨン貿易産業相、ブルネイのアミン・リュー首相府相兼第2財務経済相と会談し、同イニシアチブを2023年初頭に開始できるよう取り組むことで合意した。
(萩原遼太朗)
(ベトナム)
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