日本電解、EV電池用銅箔の新工場を米ジョージア州に建設、需要拡大に対応

(米国、日本)

アトランタ発

2022年07月21日

電解銅箔(はく)メーカーの日本電解は720日、米国子会社のデンカイ・アメリカが米ジョージア州リッチモンド郡オーガスタに電気自動車(EV)向けの車載電池用銅箔に特化した新工場を建設すると発表した。初期投資額は15,000万ドル。9月に着工し、2024年夏にはサンプル出荷を開始予定。新工場では、第1段階として年間9,500トンの生産を計画しているが、米国の車載電池市場の拡大に伴う電解銅箔の需要増を見据え、将来的に生産能力を3倍(年産28,500トン)に拡大することを想定している。今後5年間で総額43,000万ドルの投資と250人の新規雇用を目指す。

デンカイ・アメリカの製品は従来、主に航空宇宙・防衛産業向けのプリント基板用に使われてきたが、現在はEV向けリチウムイオン電池にも使用されている。米国では最近、EV向け車載用電池工場の建設計画が相次いで発表されているが、一方で、電池製造に不可欠な電解銅箔工場の建設の発表はほとんどない。電池工場が銅箔を輸入に頼らざるを得ないとなると、サプライチェーン問題や地政学上のリスクを抱えるため、米国内で銅箔の生産・供給が可能なデンカイ・アメリカにとっては大きな商機となっている。

同社は202112月、車載電池用銅箔の米国内向け供給能力を増強するため、サウスカロライナ州にある既存工場の隣接地での新工場建設を発表していた。新工場の建設地をジョージア州に変更したことについて、同社は工場機能の将来的な拡張性やコスト競争力を勘案して決断に至ったと説明。競争力の高い電力価格や地元政府からの力強い支援もポイントとして挙げている。

ジョージア州ではここ数年、EV関連の投資が活発だ。2020年以降だけでも、126億ドル以上の投資と17,800人以上の新規雇用が発表されている。デンカイ・アメリカの進出について、ジョージア州商務省のパット・ウィルソン長官は「デンカイ・アメリカは、EVのエコシステムで重要な役割を担っている。この革新的な企業をオーガスタとリッチモンド郡に迎えることができ大変うれしい」と歓迎している。

(高橋卓也)

(米国、日本)

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