ジェトロ、広州で華東・華南地域の物流動向セミナーを開催

(中国)

広州発

2022年07月13日

ジェトロは76日、華東・華南地域の物流の最新状況と政策動向に関するセミナーを開催した。卸売・小売業、物流業、製造業企業を中心に200人以上が参加した。

本セミナーでは、広東真広企業管理顧問(TJCCコンサルティングサポートサービス)の劉航副総経理が、上海での新型コロナウイルスの感染拡大と封鎖管理措置による華東・華南地域の物流などへの影響や政府の支援策を説明。また、最近の税関の監督管理に関する動向について紹介した。主なポイントは以下のとおり。

  • 上海における新型コロナウイルス感染拡大の華南地域への影響:上海の封鎖管理、貿易・物流などの混乱を受けて、華南地域でも複数の日系企業が部品の調達難に直面。一部企業では生産停止を余儀なくされる事態が発生した。
  • 政府の支援策:中央政府では、国務院が526日に「貿易の安定と質の向上の推進に関する意見」を発表(202267日記事参照)。広州市政府としては、612日に自動車・コア部品サプライチェーンの強化措置に関する意見募集稿を公表(2022615日記事参照)。自動車のコア部品のサプライヤーの集積を推進し、緊急不足部品・材料の適切な在庫備蓄を奨励するなど、サプライチェーンの強化を図っている。
  • 税関の監督管理:税関は、通関手続きの円滑化を図る施策の1つとして、AEO高級認証企業(注1)の育成を推進している。AEO高級認証企業に対しては、抜き取り検査比率が低くなるほか、さまざまな通関手続きが簡素化される。

中国におけるAEO高級認証企業は他国と比べると少ない水準にあることから、AEO一般認証企業に対して優先的に育成を行っていく方針を示している。また、AEO相互承認(注2)により、AEO高級認証企業は相互承認国における手続きも簡素化されることになり、企業の競争力強化につながるとしている。

また、質疑応答では、参加者から香港と広東省との間の越境物流の状況について質問が寄せられた。劉副総経理は「依然として正常な状況には回復しておらず、広州、深センなどを代替港として利用するケースがみられる。今後もこうした状況が(一定期間は)続く見通し」との見方を示した。

(注1AEO制度とは、貨物のセキュリティー管理と法令順守の体制が整備された事業者に対し、税関が承認・認定し、税関手続きの緩和・簡素化策を提供する制度を指す。世界税関機構(WCO)により国際的な枠組みとして採択されており、中国含む各国・地域に導入されている。

(注2AEO相互承認とは、それぞれの国が認定したAEO事業者に対し、相互に税関手続き上の便益を与えることを認めるもの。中国はシンガポール、EU、南アフリカ共和国など48カ国・地域とAEO相互承認協定に署名済み(2022712日時点)。

(梁梓園)

(中国)

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