カナダ・トルドー首相、バイデン米大統領と首脳会談、米州首脳会議出席のため訪米

(カナダ、米国)

米州課

2022年06月13日

カナダのジャスティン・トルドー首相は6月9日、訪米先の米国ロサンゼルスでジョー・バイデン米国大統領と会談した。トルドー首相は、米国および中南米諸国の首脳らが参加する第9回米州首脳会議出席のため、6月7日から米国を訪問していた。

カナダ政府の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、両首脳は、2国間および地域間、さらにはグローバルな課題まで幅広い分野において協議したとしている。具体的には、ロシア・ウクライナ問題への対応や北米地域での安全保障のほか、第9回米州首脳会議や移民・強制移住問題、さらにはインド太平洋地域での協力、主要鉱物の開発やサプライチェーンの強靭(きょうじん)化、エネルギー安全保障、気候変動対策・グリーン移行の加速、貿易・投資の促進など、取り上げられたテーマは多岐にわたった。

ウクライナ問題について両首脳は、対ロシア制裁に関する連携のほか経済、人道、軍事、その他の形態の支援に関する緊密な協力を継続していくことなどを確認し、パートナーや同盟国と協力して結束を維持し続けることに合意した。

防衛分野についてトルドー首相は、NATO加盟国および北米大陸の防衛と安全保障に対するカナダのコミットメントを示したほか、北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)の現代化支援について協議した。

また、前日8日に始まった第9回米州首脳会議について、両首脳は、同会議のテーマである「持続可能、強靭かつ公平な未来の構築」への相互のコミットメントの意向を共有した。トルドー首相は、米州地域における包括的な経済成長、新型コロナウイルス感染の流行からの回復のほか、気候変動対策やグリーン化への移行、民主主義の回復力を支援することへのコミットメントを示した。また、バイデン大統領が構想を示した「経済繁栄のための米州パートナーシップ」(2022年6月10日記事参照)への支持を表明した。

両首脳は、両国における重要な鉱物の開発の可能性や、「米国・カナダ・サプライチェーン作業部会」の活動を含め、両国のサプライチェーンの強靭化に向けた共同努力について議論した。両国はエネルギーの主要生産国として、サプライチェーンの安全性と弾力性を支える上で重要な役割を担っているが、化石燃料への依存を減らすため、2050年までにネットゼロエミッションを達成するという共通のコミットメントについても強調した。

貿易・投資面に関しては、両首脳とも貿易・投資関係の促進と育成を継続することの重要性に言及したが、一方でトルドー首相は、カナダの針葉樹製材に対する関税の賦課が米国における住宅価格を圧迫させ、手の届きにくいものにしていると指摘した。

両首脳とも、6月29~30日にスペイン・マドリードで開催されるNATO首脳会議に出席する予定とされており、バイデン大統領は、今後数カ月の間にカナダを訪問することで合意した。

(高山さわ)

(カナダ、米国)

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