米連邦政府の富裕層への対応が手厚すぎると6割が認識、シンクタンク調査

(米国)

米州課

2022年06月14日

米国シンクタンク、ピュー・リサーチ・センターは6月6日、米国民の連邦政府に対する認識に関する世論調査結果外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(注)を発表した。

それによれば、米国政府の対応が富裕層に対して手厚すぎるとみる人が61%と多数だった。それに対して、中間所得層、低所得層に対する対応が手薄すぎるとみる割合は、それぞれ69%、66%だった。政府の対応が手薄すぎるとみる割合が高かったのは、退職者(65%)、一般の人々(55%)、子供(54%)、農村地域居住者(54%)、障がい者(54%)。

また、連邦政府が主要な役割を果たすべき領域としては、「テロから国を守る」(90%)、「移民制度の調整」(85%)、「食品や医薬品の安全性の保障」(82%)、「自然災害への対応」(80%)、「経済強化」(78%)、「世界の中での国益保護」(75%)、「公衆衛生への脅威に対する効果的な対応」(73%)、「インフラ整備」(72%)が上位に挙がっている。

最高裁判所が人工妊娠中絶を規制する州法を違憲として1973年のロー対ウェイド判決を破棄すると5月に報道されたこと(2022年5月13日記事参照)から、人工妊娠中絶の各州政府による対応の違いが注目されている。人権に対する考え方が州によって異なることを懸念している割合は、民主党支持者では86%(「極めて懸念」25%、「非常に懸念」27%、「いくらか懸念」34%)だった。一方、共和党支持者は70%(「極めて懸念」12%、「非常に懸念」21%、「いくらか懸念」37%)にとどまった。

連邦政府の対応が、「不当に一部の人々に利益をおよぼしている」という回答が85%を占め、政府の公平性に疑問が持たれているという結果となった。また、連邦政府が人々の生活に干渉しすぎるという回答は67%だった。特に、共和党支持者で人々の生活に干渉しすぎるという回答が85%と高く、民主党支持者(53%)との違いが鮮明だった。

国の現状に満足しているのは4分の1弱

国の現状に満足していると回答したのは24%で、満足していないとした割合は75%だった。支持政党別では、民主党支持者は35%が満足していると回答したが、共和党支持者は10%だった。

全議員あるいはほとんどの議員が私利私欲のために活動しているとする回答は65%に達した。支持政党別でも共和党支持者(66%)、民主党支持者(63%)と違いがみられなかった。全議員あるいはほとんどの議員が地域のために活動しているとする回答は21%にとどまった。

(注)実施時期は、2022年4月25日~5月1日。回答者は、全米の成人5,074人。

(松岡智恵子)

(米国)

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