4月の貿易、輸出の減速が顕著に

(中国)

北京発

2022年05月13日

中国海関総署の5月10日の発表によると、4月単月の貿易総額(ドル建て、以下同)は前年同月比2.1%増の4,961億ドルとなった。輸出額は3.9%増の2,736億ドル、輸入額は横ばいの2,225億ドルで、貿易収支は511億ドルの黒字だった(添付資料表参照、注)。輸出の伸びは3月の14.7%から10ポイント以上下落し、減速が顕著となった。なお、4月の貿易貨物輸送量は前年同月比8.8%減、うち輸出貨物輸送量は11.3%減、輸入貨物輸送量は7.3%減だった。

4月の貿易額を国・地域別にみると、中国の主要な貿易パートナーであるASEAN、EU、米国、韓国、日本のうち、輸出では米国向けが前年同月比9.4%増、EU向けが7.9%増、ASEAN向けが7.6%増といずれも増加したが、増加幅は3月の2桁増から減速した。輸入ではASEAN、台湾からの輸入の伸びが3月よりも加速したことにより、輸入総額の伸びは若干回復した。また、4月のロシアとの貿易は輸出が25.9%減だった一方、輸入が5割増となったことにより、貿易額は17.5%増と前月よりも伸びが加速した。

4月の貿易額を主要品目別にみると、輸出ではハイテク製品とエレクトロニクス製品の伸びがマイナスに転じた一方、自動車(シャーシを含む)は増加した。輸入では大豆が増加したほか、商品価格上昇により石炭、原油が大幅増となった。

商務部国際貿易経済合作研究院国際市場研究所の白明副所長は、貿易の減速の要因として、国内各地で新型コロナウイルスの感染拡大が発生していることを挙げ、特に長江デルタなど貿易の要地での感染拡大が産業・サプライチェーンの障害をもたらし、貿易に支障を来していると指摘した。また、ロシア・ウクライナ情勢の影響を受けたコモディティー価格の上昇や不確実性の高まりが中国の貿易受注にとってマイナスの影響をもたらしているとも述べた(「21世紀経済報道」5月9日)。

(注)元建てでは、貿易総額が前年同月比0.1%増、輸出額が1.9%増、輸入額が2.0%減となった。

(小宮昇平)

(中国)

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